2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規神経回路操作技術による大脳皮質―基底核ネットワーク制御機構の解明
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23300119
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
小林 和人 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (90211903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深掘 良二 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (40457784)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 視床線条体路 / 皮質線条体路 / 道具的学習 / 運動制御 / 行動柔軟性 / 高頻度逆行性遺伝子導入ベクター / 細胞標的法 / 光遺伝学 |
Research Abstract |
大脳皮質と基底核を連関する神経回路は、学習と行動の発現制御に必須の役割を持ち、この回路の活動異常は多くの神経・精神疾患の病態と深く関係する。本研究では、我々の研究グループで開発した独自の遺伝子改変技術を応用して、学習の獲得・実行・変換に関与する神経機構の仕組みの解明に取り組む。本年度は、視床束傍核から線条体へ入力する神経路のPavlovian-instrumental transfer(PIT)のプロセスにおける役割を解析するために、PITの行動課題を樹立した。2種類の音刺激に対して、異なる報酬(レモンあるいはリンゴ香料を含む液体)を与え、刺激と報酬の連合を条件付けし、次に、2種類のレバーに対してそれぞれ異なる報酬を与え、反応と報酬の連合を条件付けした。テストにおいて、2種類の音を提示し、それぞれの刺激に対応したレバーを押す行動(PIT)を評価した。コントロールラットを用いてPIT課題を達成することを確認した。次に、行動課題中の束傍核線条体路の神経活動を評価するために、loxP/変異loxP配列で隣接したDREADD(ムスカリン性アセチルコリン受容体の変異体)および線虫塩素チャンネルGluCl受容体の遺伝子を持つアデノ随伴ウイルスベクターを作成した。Cre組換えにより経路選択的な化学遺伝学技術により、ラットの束傍核の活動を促進性あるいは抑制性に制御し、弁別行動に与える影響を解析する。次に、皮質線条体路の行動生理学的役割に関して、特に、運動野(M1/M2)や視覚野(V1/V2)から背外側線条体へ投射する経路の行動生理学的役割を明らかにするために、ヒトIL-2R遺伝子をコードするHiRet ベクターをマウス線条体に注入し、M1/M2とV1/V2への逆行性遺伝子導入を確認した。まず、運動皮質の局所領域にイムノトキシンを投与することによって、皮質線条体路を選択的に除去する条件を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PITの行動課題を樹立し、視床線条体路の機能解析に応用した。光遺伝学に加え、化学遺伝学の技術を導入し、視床線条体路の機能操作に応用した。皮質線条体路の機能解析として、M1/M2に由来する経路に着目し、その選択的な除去条件を確立した。
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Strategy for Future Research Activity |
PITにおける視床線条体路の機能を解析する。光遺伝学あるいは化学遺伝学を用いて、視床線条体路の活動を促進性あるいは抑制性に制御し、弁別学習の獲得と実行への影響を解析する。M1/M2に由来する皮質線条体経路を選択的に除去し、本経路の運動および学習における役割を解析する。
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