2011 Fiscal Year Annual Research Report
In vivoナノイメージングによる心筋興奮収縮連関のメカニズムの解明
Project/Area Number |
23300146
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
福田 紀男 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (30301534)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗原 敏 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (90057026)
大槻 磐男 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (70009992)
照井 貴子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (10366247)
小比類巻 生 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (40548905)
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Keywords | 生理学 / 生物物理 / 細胞・組織 / 生体分子 |
Research Abstract |
H.23年度は、in vivo心筋興奮収縮連関の創成に向け、基盤技術の構築を行った。 心筋細胞を使った実験にラットの幼若心筋細胞のZ線にGFPを発現させ、サルコメアの自励振動現象(SPOC)の特性を解析した。単一サルコメア長の計測精度は10nmである(カメラ速度:30fps)。イオノマイシン処理した幼若心筋細胞にSPOC溶液(pCa 6.0;10mM EGTA)を加えると、周期1~3Hzの自励振動が観察された。SPOC中のサルコメア振動は、ゆっくりとした短縮相と素早い伸展相から成る鋸波であった。また、インタクトの幼若心筋細胞に電気刺激を加え、波形解析を試みた。刺激頻度が低い場合(1Hz)、収縮にともなうサルコメア長変化はSPOCと逆位相であり、素早い短縮相とゆっくりとした伸展相が観察された。ところが、刺激頻度を生理的なレベル(3~5Hz)に上げると、伸展速度の著しい上昇とともに短縮/伸展の位相が変化し、波形がイオノマイシン処理細胞におけるSPOCに類似していた。よって、生理的な拍動条件下、心筋細胞においてSPOCが駆使されていることが示唆された。 In vivo心臓を使った実験:ラットを麻酔下に開胸し、心臓と心嚢膜の間にFuGENE-HDとαアクチニン抗体-量子ドット複合体を導入した。心臓を摘出して蛍光観察すると、~2.00μm周期の横紋様構造が確認された。また、遺伝子発現を利用することによって、in vivo心臓において単一サルコメア長を計測した。すなわち、α-actinin-GFP発現組み換えアデノウイルスベクターを作製し、マウスの心臓に投与した。ADV投与2~3日後、GFPの蛍光が観察され、静止時のサルコメア長が~2.00μmであることが判明した。量子ドット、GFPいずれの場合も単一サルコメア長の計測精度は10nmであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、最先端のナノ計測技術をin vivo心臓に応用することにより、心筋細胞の興奮・収縮と心臓のポンプ機能との関係を分子レベルで明らかにすることである。これにより、心筋細胞内のナノ情報と心臓全体のマクロ情報(圧情報や電気情報)を融合させ、心筋生理学分野に新しい研究領域(in vivo心筋興奮収縮連関)を創成する。H.23年度の研究において、心筋細胞、in vivo心臓において、GFPや蛍光ナノ粒子を用いることによって、10nmの精度でサルコメア長の動的変化を捉える基盤技術を構築することに成功した。よって、現在までのところ、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
H.23年度に構築した基盤技術を強力に発展させ、in vivo心臓において心筋興奮収縮連関のメカニズムを明らかにする。特に、心臓の異なる部位での心筋細胞内情報を抽出し、心筋細胞の興奮・収縮とポンプ機能がどのようにつながっているかを明らかにする。分担者の大槻らは、トロポニンTに変異(K210)をノックインしたマウスを作出することに成功している。このマウスの心筋収縮系のCa感受性は低下しており、収縮力を増強するために細胞内Ca濃度が増大し、致死的不整脈が誘発される。申請者らのナノ計測技術を本モデル動物に適用し、興奮収縮連関の変化、特に、致死的不整脈による突然死の原因を、in vivoで、かつ分子論的に明らかにする。さらに、Ca濃度の変化に応じて蛍光強度を変化させるGCaMP2をサルコメアのZ線に発現させた細胞を使ってT管周辺のCaを測定し、Caが筋フィラメントにどのように拡散しているかを、正常心筋、病態心筋について計算する。
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Research Products
(11 results)