2011 Fiscal Year Annual Research Report
DNA鋳型ナノワイヤを利用した血液検査デバイスの開発
Project/Area Number |
23300168
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
安田 隆 九州工業大学, 大学院・生命体工学研究科, 准教授 (80270883)
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Keywords | DNA / ナノワイヤ / インターカレータ / マイクロ流路 / マイクロデバイス / 血漿抽出 |
Research Abstract |
DNAを鋳型として金属ナノワイヤを形成する技術を確立し、その電気的特性を評価した。まず、ガラス基板上に間隔15μmだけ隔てて2つのAu薄膜電極を形成し、その上にPDMS製のマイクロ流路を構築した。蛍光色素Hoechst 33258によって長さ16μmのλDNAを標識し、その混合溶液を流路内に満たした。そして、電極間に1MHz、20Vの交流電圧を印加することで、λDNAを電界方向に伸長させるとともに電極上へ静電的に固定化し、これを蛍光観察により確認した。次に、ナフタレンジイミドの両末端に還元基を有するインターカレータを流路内に導入し、ナフタレンジイミドをDNAの2本鎖間に挿入して、還元基をDKA表面に配置した。最後に、銀イオンを含むトレンス試薬を導入することで、還元基によりDNA近傍の銀イオンを還元し、銀をDNA表面に析出させた。SEM観察により、電極間に直径50nm程度のナノワイヤが複数形成されていることを確認した。ナノワイヤの電流-電圧特性を計測したところ、それらが非線形な関係を有することが分かった。また、流路幅を変更することでナノワイヤの本数を変更し、本数と電気抵抗の関係を求めた。そして、交流インピーダンス法により複素インピーダンスプロットを描き、これからナノワイヤの等価回路を推定した。 さらに、微量血液から血漿を抽出するために、1本の主流路(幅2mm×深さ100μm)の側面最上部から多数の側流路(幅5μm×深さ2μm)が分岐した構造のデバイスを製作した。主流路入口に血液10μLを滴下し、毛細管力により主流路内に血液を導入した。主流路内で重力により血球がわずかに沈降することで、即座に血漿が側流路内に導入された。これにより、無希釈の微量な全血から血漿のみを簡便かつ高速に抽出することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書の研究実施計画に記載したDNA鋳型ナノワイヤの形成方法の構築、ナノワイヤの電気的特性評価、血漿抽出デバイスの構築など、全ての計画内容を実施し、当初目標としていた成果を得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまず、単一のDNA鋳型ナノワイヤの電気的特性を評価するために、単一のDNAを電極間に伸長固定し金属被覆する技術を構築する。この評価実験を通じて、ナノワイヤの形成条件と電気的特性の相関を求め、形成条件の最適化を図る。次に、1本鎖と2本鎖が複合したDNAに対して、2本鎖部分のみを選択的に金属被覆する技術を構築する。これにより、残った1本鎖を測定対象分子の認識部位に利用することが可能となる。これらと並行して、微量な血液から血漿を抽出するデバイスの最適化を図り、マイクロ流路中で血漿中の生体分子を計測する技術を構築する。
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