2012 Fiscal Year Annual Research Report
表面開始スマート重合による新規運動器疾患治療法の創出
Project/Area Number |
23300175
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高取 吉雄 東京大学, 医学部附属病院, 特任教授 (40179461)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
茂呂 徹 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (20302698)
小笠原 徹 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20359623)
橋本 雅美 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 研究員 (20450851)
大嶋 浩文 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00622359)
金野 智浩 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80371706)
石原 一彦 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90193341)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 医療・福祉 / ナノバイオ |
Research Abstract |
本研究の目的は、独自技術であるMPCポリマーによるナノ表面処理を、PEEK表面に応用し、次世代運動器インプラントに応用するための基礎検討を完成させることである。今年度は、以下の検討を行った。 1. PEEK表面の至適MPCポリマー処理条件の検索: PEEKのMPCポリマーによるナノ表面処理について、溶液濃度、処理時間等を変化させ、至適条件を確立した。具体的には、試料表面をXPS、FT-IR、AFMで非破壊的に観察し、MPCユニットの同定および処理率を計測し、TEMにて処理層の厚みを測定した。また、 CFR-PEEKについても同様の検討を開始した。 2. MPCポリマー処理PEEKの荷重支持性の検討:1) PEEK厚がMPCポリマー処理効果に与える影響の検討: 薄層化したMPCポリマー処理PEEKの機械的強度を、引張り強度、曲げ試験などで評価した。 3. MPCポリマー処理PEEK表面の耐摩耗性の検討: MPCポリマー処理PEEK表面の耐摩耗特性を、股関節シミュレーター、Pin-on-disc型摩耗試験にて評価し、MPCポリマー処理により耐摩耗性が劇的に改善することを確認した。 4. MPCポリマー処理PEEK表面の耐感染性の検討: disc表面にMPCポリマー処理を行い、インプラント感染の病原菌である、バイオフィルム形成黄色ブドウ球菌を播種した。37℃にて1時間静置培養後試験片を回収し、付着生菌数測定、蛍光顕微鏡観察から、細菌付着が抑制されていることを確認した。 以上の結果は、MPC処理PEEKを次世代運動器インプラントに応用するための基礎検討を推進する確信を得るに十分な結果であった。25年度は、上記の検討を継続するとともに、特にCFR-PEEKについても検討を加える予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PEEK表面の至適MPCポリマー処理条件の検索、MPCポリマー処理PEEKの荷重支持性の検討、MPCポリマー処理PEEK表面の耐摩耗性の検討、MPCポリマー処理PEEK表面の耐感染性の検討の各研究細目について、研究立案時の年次計画に沿って研究が進展しているため、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
1. PEEK表面の至適MPCポリマー処理条件の検索:平成24年度に確立した条件を参考に、CFR-PEEKの至適MPCポリマー処理条件を検索する。溶液濃度、処理時間を変化させ、以下の評価を行う。a) X線光電子分光分析、b) 赤外分光光度分析、C) 原子間力顕微鏡観察、等。 2. MPCポリマー処理PEEKの荷重支持性の検討:1) 厚さの異なるMPCポリマー処理CFR-PEEK板を作製し、引張り強度、曲げ試験、クリープ変形など、機械的強度を測定する。 2) ASTM F732に準じた衝撃-摩耗試験を行い、衝撃耐久性を評価する。 3. MPCポリマー処理PEEK表面の耐摩耗性の検討:1) CFR-PEEK製の臼蓋ライナーを作製し1.で検索した条件で表面のMPCポリマー処理を行い、ISO 14242-3に準じた股関節シミュレーター試験で、摩耗抑制効果を検討する。 2) 人工膝関節、人工椎間板への応用を検討するためPin-on-disc/plate型摩耗試験装置を用い、ASTM F732に準じて以下の検討を行う。a) 重量変化による摩耗量の測定、b) 表面および背面のデジタルマイクロスコープ、SEM、LSMによる解析。 4. MPCポリマー処理PEEK表面の耐感染性の検討:24年度に引き続き、MPCポリマー処理PEEK表面の抗感染性を、in vitroの感染モデルを用いて評価する。また、MPCポリマー処理CFR-PEEKについても同様の評価を行う。CFR-PEEK製のdiscを作成し、上記1.で確立した方法でMPCポリマー処理を行う。24穴プレート中にMPCポリマー処理した試験片を配置し、黄色ブドウ球菌を播種する。37℃にて1時間静置培養後試験片を回収し、以下の検討を行う。a) 付着生菌数測定、b) 蛍光顕微鏡観察、c) 電子顕微鏡・レーザー顕微鏡観察によるバイオフィルム厚の評価。
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