2011 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷後の機能回復における再髄鞘化の役割とその制御
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23300204
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Research Institution | National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities |
Principal Investigator |
緒方 徹 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所・運動機能系障害研究部, 部長 (00392192)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森岡 和仁 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所・運動機能系障害研究部, 流動研究員 (90551466)
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Keywords | オリゴデンドロサイト / 協調運動 / 痙縮 / 細胞培養 |
Research Abstract |
オリゴデンドロサイト初代培養系における検討 ラット新生児大脳より細胞を採取し、純化されたオリゴデンドロサイトの培養と神経細胞との共培養によるin vitro髄鞘形成の系の立ち上げを試みた。オリゴデンドロサイトの分離を行うことはできたが、充分な細胞数を得る点に課題が残り、目的とする培養系の完成にはいたらなかった。 ラット脊髄損傷モデルでの再髄鞘化抑制実験 再髄鞘化を抑制する因子としてコレステロール代謝阻害剤(シンバスタチン)の投与をマウス脊髄損傷モデルに対して行った。受傷後5日目から2週間の投与を行い、4週目で組織学的解析を行った。その結果、シンバスタチン投与によって再髄鞘化は抑制され、同時に対照群と比較して後肢運動機能の回復が不良であった。この結果は再髄鞘化が脊髄回復に寄与していることを示すものと考えている。その他の髄鞘抑制薬剤は時間配分の問題から見合わせた。 各種評価方法の測定系の確立 ラット・マウスの脊髄損傷モデルの神経機能評価として以下の測定方法を確立した。 経頭蓋電気刺激による下肢誘発筋電図、感覚誘発電位、下肢H波測定、Swimming testによる痙縮評価、3次元動作解析。 これらの解析法は今後再髄鞘化が脊髄機能に与える影響を評価する際に用いる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラット脊髄損傷モデルにおける再髄鞘化抑制実験は運動機能の変化を伴う結果が得られており、すでに学会発表の準備に入っている。計画していた各種評価法の中で生理学的検査法はほぼすべて確立した。 オリゴデンドロサイトの初代培養系は髄鞘化を観察するところまでの確立ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も当初の計画に沿って研究を進める。特に初年度で成果が得られているシンバスタチンによる再髄鞘化抑制とその結果生じる運動機能回復の障害については個体数を増やし、また多面的な解析を行う。また一方で再髄鞘化を促進すると予測される薬剤の投与実験を積極的に進める予定である。
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