2011 Fiscal Year Annual Research Report
認知機能低下抑制を目的とした多面的活動プログラムの開発と効果検証
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23300205
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
島田 裕之 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 自立支援システム開発室, 室長 (00370974)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 隆雄 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 研究所, 所長 (30154545)
牧迫 飛雄馬 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 自立支援システム開発室, 外来研究員 (70510303)
土井 剛彦 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 自立支援システム開発室, 流動研究員 (60589026)
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Keywords | 軽度認知障害 / 認知症 / 活動 / 高齢者 / 介護予防 / スクリーニング / NIRS / 記憶 |
Research Abstract |
本研究は、軽度認知障害(mild cognitive impairment:MCI)を有する高齢者を対象として、近赤外分光法(near infrared spectroscopy:NIRS)を用い、各種活動時の脳活動を調べ、脳活性化に有益な活動内容を集積して、多面的な活動プログラム(Multidimensional Activity Program:MAP)を作成し、介護予防事業で使用できる形にマニュアル化する。その後、MCI高齢者に対するMAPの効果をランダム化比較試験により検証することを目的としている。 今年度は研究開始初年度であり、MAPの開発およびランダム化比較試験の対象者を抽出するために、地域在住高齢者を対象とした健康診査を実施して健忘型MCI高齢者を特定した。MAPの開発に関しては、健常成人を対象としたNIRSの予備実験において、運動時の前頭前野の活動は顕著でなかったが、認知課題に対する反応が強く観察された。とくに記憶再生課題において前頭前野の活性化が認められ、MAPプログラムに導入する必要があると考えられた。 健忘型MCI高齢者の特定に関しては、愛知県大府市において5111名の認知機能スクリーニング検査を実施した。検査内容は、一般的認知機能、論理的記憶、単語再認、実行機能、視空間認知検査を実施した。MCIの判定は、主観的記憶低下の訴えがあり、測定した認知機能検査が年齢相応より低下しているが、全般的認知機能に明らかな低下は認められず、基本的日常生活動作に支障はない状態とした。この基準からMCI高齢者を抽出した結果、468名(9.2%)の高齢者が健忘型MCIと判定され、そのうち159名の高齢者が介入への参加を同意した。これは当初計画していた必要症例数(144名)を超えており、介入研究の準備が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では2880名の高齢者のスクリーニング検査を予定していたが、5111名の検査を実施したことでMCIの基準を明確にして対象者を抽出することができた。これにより、十分な介入研究の対象者を確保することができるとともに、同一性の高い集団に対して介入を実施することが可能となり、結果を一般化しやすくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
MAP開発において各種活動時のNIRSの分析を予定していたが、計測時の動きに対するノイズの問題や、運動による前頭前野部分の活性化が顕著でなかったことから予備実験段階で中断となった。今後は、動きの少ない課題設定を模索するとともに、前頭前野の活性化が期待できる課題を探索していく。なお、認知課題に対するNIRSの分析は順調に進んでおり、statistical parametric mappingを用いた群間比較の分析を行っている。
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Research Products
(14 results)