2012 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子賦活を介した骨格筋の代謝および運動機能の改善よる肥満関連肝疾患の予防効果
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23300250
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
正田 純一 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90241827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳川 徹 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10312852)
宇都宮 洋才 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (60264876)
後藤 直宏 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 准教授 (60323854)
蕨 栄治 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70396612)
岡本 嘉一 筑波大学, 医学医療系, 講師 (90420083)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 肥満関連肝疾患 / 骨格筋 / 転写因子 / 代謝機能 / 運動機能 |
Research Abstract |
本邦で増加の一途にある肥満に関連した非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の予防と治療には食事・運動療法以外にコンセンサスが得られた方法はない.一方,転写因子のNF-E2 related factor 2(Nrf2)は,抗酸化ストレス防御機構の発動や自然免疫系の活性化を制御する因子であることに加えて.脂肪蓄積を抑制する新しい機能を有することが判明している.骨格筋のNrf2賦活化が運動機能を改善させることが可能であるかどうかを検討し,トレッドミルテストを行い最大走行距離の測定を行ったところ,野生マウスに比較してNrf2欠失マウスでは有意にその距離が短かった.また,Nrf2を賦活化するスルフォラファンを投与した野生マウスと非投与の野生マウス,スルフォラファンを投与したNrf2欠失マウスにトレッドミルテストを行った結果,スルフォラファンを投与した野生マウスにおいてのみ,最大走行距離の増加が認められた.Nrf2賦活化が骨格筋の運動能力の向上に重要な役割を演じていると考えられた.動物実験では,高脂肪食の負荷にて作製した脂肪肝が,野生マウスでは約2ヶ月間のトレッドミル運動により改善するが,Nrf2欠失マウスでは改善しないことが判明した.運動は全身の転写因子Nrf2を活性化し,さらに,骨格筋はNrf2介在性に種々の分泌蛋白を産生し,それらの一部の分泌蛋白には,異所性臓器脂肪に対する脂肪融解作用があるものと推測されたが,未だ未だ同定には至っていない.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動物実験施設において,マウストレッドミルおよびカロリメーターの設置と使用開始に時間を要した.Nrf2賦活化による抗酸化ストレス応答は,骨格筋の運動能力の向上に重要な役割を演じていることが判明したが,Nrf2賦活化による運動機能の向上の背景にあると考えられている骨格筋の酸化ストレス病態,糖および脂質の代謝病態に関する解析が遅れている.しかしながら,ヒト肥満者における運動が転写因子Nrf2を活性化し,抗酸化ストレス応答を発揮し,体重減少とは無関係に炎症病態と酸化ストレスレベルを改善することが判明し論文投稿中である.
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Strategy for Future Research Activity |
減量を目的とする運動療法が中年肥満男性において,転写因子Nrf2を活性化し,抗酸化ストレス応答を発揮し,体重減少とは独立して,炎症病態と酸化ストレスレベルを改善することが判明した.一方,動物実験においては,高脂肪食にて作製した脂肪肝が野生マウスでは運動により改善するが,一方,Nrf2欠失マウスでは消失しないことが判明している.今年度は,マウストレッドミルおよびカロリメーターを用いて,骨格筋の酸化ストレス病態,糖および脂質の代謝病態に関する解析を行う.また,Nrf2介在性に生成される骨格筋由来の新規分子について探索研究を進めていく.Nrf2の賦活化剤には,スルホラファンに加えて,さらに強力な賦活化のあるCDDO-Imを用いて実験を進捗させる予定である.
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Research Products
(14 results)