2012 Fiscal Year Annual Research Report
総合型地域スポーツクラブにおける心臓リハビリプログラムの安全性と効果の検証
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23300258
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
佐藤 真治 大阪産業大学, 人間環境学部, 准教授 (60529973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 彰 独立行政法人国立循環器病研究センター, その他部局等, その他 (00187965)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 心大血管疾患リハビリテーション / 総合型地域スポーツクラブ / 集団スポーツ療法 / 予防医学 / 生命予後 |
Research Abstract |
【具体的内容】総合型地域スポーツクラブに医療機関と連携した慢性安定期の心臓リハビリプログラムを導入し、安全性と効果を検証中である。このモデルの大きな課題は、医学的な有効性や安全性の担保である。我々は、病院とクラブの間で医学情報を共有し、クラブと契約した心臓リハビリ指導士が現場で運動強度や時間を管理することで有効性を担保する。また、クラブの活動中、指導士と病院の循環器医師をホットラインで結び、事故が発生した場合の指示や救急ルートの確保を病院主導でおこなっている。対象は、徳洲会野崎病院で急性期および回復期心臓リハビリテーションを施行した慢性期の心血管系疾患患者20名。プログラムは週1回、60分を基本とした。主要アウトカムは、追跡期間中の心事故発生率と再入院率。副次アウトカムは運動耐容能、心エコー指標、QOL指標(SF-8)、人とのつながり(ネットワークの密度・中心性)とする。 【本研究の意義と重要性】心臓リハビリが再発予防や生命予後改善に有効であることは明らかである。しかし、本邦ではリハビリ算定日数を超えてリハビリ終了となった慢性安定期の心臓リハビリの環境は十分に整っていない。本研究の遂行により総合型地域スポーツクラブにおける心臓リハビリプログラムの安全性と効果が確認されれば、①心疾患患者が安心して運動を楽しめる環境を地域に整備できる、②心疾患患者の社会的孤立を防ぎQOLを改善する、③医療でもない介護でもない新たな周辺サービスを創出するきっかけとなる等の成果が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2011年5月、大阪産業大学と大東市が運営する総合型地域スポーツクラブ「いきいき大東スポーツクラブ」に野崎徳洲会病院と連携した心臓リハビリプログラム「いきいきハートクラブ」を設立した。参加者(介入群)は、現在20名。約2年が経過し、他疾患による死亡を1名、冠動脈再狭窄による再入院を1名、プログラム中の重症不整脈を1例認めた。介入期間(3年)終了後、対照群と比較検証する。 さらに、今年度5月から、駅前の商店街の空き店舗を利用して、心疾患患者が気軽に立ち寄れるコミュニティスペース(いきいきホットステーション)を設立した。現在、プログラム参加者と大阪産業大学学生の世代を超えた交流の場として機能している。 以上、本研究課題は総合型地域スポーツクラブと医療機関の連携にまちなかのコミュニケーションスペースを加えた地域医療健康連携システムへと展開を見せている。
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Strategy for Future Research Activity |
野崎徳洲会病院、大阪産業大学、「いきいきハートクラブ」および「いきいきホットステーション」を包括した地域医療健康連携システムの効果を明らかにする。プログラム参加者の運動耐容能、心エコー指標、QOL、人とのつながりを測定し、変化を検証する。また、安全性の検証も引き続き継続する。 心大血管患者が楽しく・安全に運動を楽しめる施設が全国に整備されるには、本プログラムの成果を情報発信し、同意者を増やすことも重要である。現在、地域における運動指導は健康運動指導士が担う。健康運動指導士が慢性期の心大血管疾患患者の運動指導に役割を発揮すれば、すそ野は広がっていく。3年前より、心臓リハビリテーションに興味を持つ健康運動指導士のネットワーク(CEPA Japan)を設立し、一定の成果を上げているが、今後さらに推進したい。
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