2011 Fiscal Year Annual Research Report
高等教育における「持続可能な開発の為の教育」評価可能な枠組開発と普及構造の構築
Project/Area Number |
23300285
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
GANNON TraceyJ 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (40378849)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
シンガー ジェーン 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (00570003)
深町 加津枝 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (20353831)
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Keywords | 持続可能な開発の為の教育(ESD) / 環境教育 / エコ・リテラシー / サステナビリティ学 / 積極的環境行動 |
Research Abstract |
個々の主体が持続可能な未来に向けて社会的責任を果たす行動を促進することを目指す、持続可能な開発のための教育(ESD)プログラムの教育モジュールを開発し、その評価枠組みを構築することが本プロジェクトの目的である。 研究実施計画に記した計画に沿い、平成23年10月31日~11月7日にワークショップ「Definihg Our ESD」を開催した。同ワークショップは地球環境学堂の教員(本科研プロジェクト・メンバー)、学生が参加すると共に、学外からもESDの専門家(大学教員、環境NGO、自治体職員等)を交えて行われた。また最終日には参加した学生による発表の他、WS全体を通じた総括と総合討論会を実施した。約1週間に渡るWSでは1)地球環境学堂がこれまでに行って来た環境教育を総括すると共に、ESDの定義、言説、手法に関する発表、総合討論を開催2)持続可能なコミュニティについて、京都市の事例と京都府の山間地域、沿岸地域の事例を、フィールド・ワークを実施して議論を重ねた。 上記のワークショップを通じて得られた知見をもとに、大学教育におけるESD講義カリキュラムとして、パイロット・コース「Buildinga Sustainable Future : Principles and Challenges」を構築した。このカリキュラムは主に大学学部において環境を専門に専攻する学生以外を対象にサステナビリティに関する環境教育を行うことを目的に、教室での講義とフィールド・ワークを組合せた総合的なESDコースとなっている。本カリキュラムは実際に京都大学国際教育プログラム(KUINEP)の英語科目として開講されており、2012年度前期の時点で、留学生を含む25名が履修している。 またESDカリキュラムの評価枠組の開発に関しては、学生自身による自己評価手法や、オンライン掲示板(BBS)システムを活用して実施する。定量的手法を用いた評価を検討している。 他にエコ・リタラシーと環境アドボカシーの向上に関するセミナーを開催し、これまでに合計で約200名の学生の参加があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
WSやセミナーの開催を通じて得られた成果をもとに、評価軸の質をを向上させるために細かい変更を行っている。第1にセミナーで指摘のあった、サステナビリティ・コンサルタント(英)のSara Turnbull氏からの提言により、ソーシャル・メディア(SNS)を取入れた点が挙げられる。これにより当初予定していたアンケート用紙を利用した調査と比べ、より円滑に本プロジェクトによるカリキュラムを受講した学生のその後の環境行動と意識の変化を長期的にモニタリングし、評価することが可能となった。定量的評価に関しても京都大学エネルギー科学研究科のBen MaClellan准教授から有効な提案をいただき取り組んでいるところである。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画から大きく変更する点はないものの、平成24年度に実践する予定であったESDパイロット・コースを平成25年度前期にも開講。これは1年目の成果を踏まえて、より包括的なコース・カリキュラムと評価軸を形成するために必要となるためである。また平成24年度夏季に3週間の短期集中講座としてベトナムで開講予定であったESD講座を3カ月の通常講義期間中に開講できるよう、ベトナム・フエ大学側と準備を進めている。これによって日本での講義期間と同等の期間を確保できることから、両国での実施経験を踏まえた比較をより正確に行えるものと考え、ている。また短期間の集中講義と比べ、ベトナムの学生にとっても積極的環境行動について深く考察し、そうした行動パターンに結びつける機会となる事が期待される。講義期間の長期化に伴っては、当初の計画では日本から教員が3週間ベトナムに滞在する予定であったところを、短期間交代で渡航するなどすることで、当初と同等の予算範囲とする見込みである。
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