2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23300324
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鉾井 修一 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80111938)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小椋 大輔 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60283868)
高林 弘実 京都市立芸術大学, 美術学部, 講師 (70443900)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 文化財保存 / CO2 / 古墳 / 石槨 / 空調 / 生物活動 |
Research Abstract |
闘鶏山古墳は未盗掘の竪穴式石槨2基(第1 及び第2 主体)を有しており、発掘調査を実施して副葬品等を取り上げることが検討されているが、その際、覆屋の設置と空調システムの構築が不可欠と考えられている。しかし、現状の石槨内酸素濃度は約18%と外気より低く、二酸化炭素濃度は約2%と外気よりも高い。また、O2 濃度は夏季に低く冬季に高く、CO2 濃度はその逆となっている。発掘作業者の健康を考慮すると、O2 濃度を高くCO2 濃度を低く保つ必要があるが、その場合微生物による副葬品の汚損や金属器のさびが進行する危険性が予想される。従って、石槨内部の温湿度だけでなく、O2 濃度やCO2 濃度などの空気質も適切に制御する必要があり、それらの挙動の予測が重要となる。 本研究では、石槨内部発掘調査時の石槨周辺の適切な温湿度・空気質環境の制御方法を明らかにすることを主たる目的とし、すでに石槨内の温湿度およびO2・CO2 濃度の予測モデルを提案し、第2 主体の温湿度、O2・CO2 濃度については妥当な結果を得ている。 昨年度は既報の予測モデルを第1 主体にも適応した場合の挙動の再現性を確認し、その上で2基の石槨のO2・CO2 濃度の挙動を再現できるようにモデルの修正を行った。その結果、既報で提案したO2・CO2 濃度の予測モデルに石槨内の微生物・植物根活動を付け加えることで、闘鶏山古墳の2基の石槨内のO2・CO2 濃度の挙動が同時に再現できるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
石槨の縮小モデルの作成に時間を要し、現場への設置が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.前年度からの継続項目:古墳周りの温熱環境測定、植生および地盤における熱水分挙動の測定、粘土の化学反応(化学反応プロセスと粘土の収縮、硬化との関係)、根の成長・呼吸に関するモデル作成、石槨内の二酸化炭素・酸素濃度予測モデルの作成 2.植生周りの気流および温熱環境解析:植生を簡易な形状に近似し、植生内外の気流分布をCFD解析により求め、実測結果との対応を検討する。植生の内外部の日射量、温湿度、風速を与える解析モデルを作成し、測定値との対応によりモデルの妥当性検討を行う。 3.植生および地盤における熱水分挙動の解析と植生の有無の影響検討:これまでに作成している古墳-石槨モデルを拡張し、植生を地表側の境界条件とする地盤-石槨の熱水分解析を行い、(植生伐採前後の)測定値との対応によりモデルの妥当性を検討する。作成されたモデルを用いて、植生の有無が石槨内温熱環境に与える影響を明らかにする。 4.種々の地表側境界の変更に伴う石槨内環境変化の予測と制御:植生、日射遮蔽ネット、断熱材、土木用(保水性)シートをそれぞれ組み込んだ植生-地盤-石槨の熱水分移動解析モデルを作成し、モデルの妥当性を検討する。地表面の最適調整方策を提案する。 5.報告書作成
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Research Products
(5 results)