2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23300340
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
森永 由紀 明治大学, 商学部, 教授 (20200438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 孝宏 鹿児島大学, 法文学部, 准教授 (00315392)
高槻 成紀 麻布大学, 獣医学部, 教授 (00124595)
立入 郁 独立行政法人海洋研究開発機構, 地域環境変動領域, 特任研究員 (30336185)
篠田 雅人 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 教授 (30211957)
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Keywords | 遊牧 / 伝統知識 / 気象災害 / モンゴル / 早期警戒システム / 気候学 / 生態学 / 人類学 |
Research Abstract |
本研究はモンゴル気象水文研究所とともに、ゾドの災害影響緩和を目指す早期警戒システムの刷新と、牧民へ災害に関する知識の普及を行うことを目的とする。以下、具体的計画ごとに成果を述べる。 1)早期警戒システムの性能を向上させるため、2009/10年のゾドについてその気象学的特徴と、早期警戒システムがなぜ十分に活用されなかったかを検討し、システムの問題点を明らかにする。 深刻な被害を出した2009/10年のゾドについて、その気象学的特徴を明らかにした。さらにボルガン県を例に寒気の吹き出しに関する気象学的指標を開発した。 2)牧畜気象観測体制の現状把握と新しい観測体制を開発する。 精度が低下している牧畜気象観測体制の見直しを、観測点である遊牧民のゲルの訪問調査により行った結果、定時観測が時間通りに実施されない問題点が明らかになった。ルーチン観測マニュアルの見直しを研究所に提案した。さらに、研究所において、軽量・頑丈で簡便な移動気象観測体制の開発をクリマテック社とともに開始し、新牧畜気象観測システムを研究所に1点とゴビ砂漠の観測点の計2点に試験的に設置することを決定した。 3)遊牧の持続性に着目した観測を実施し、遊牧知の抽出をする。 森林草原に位置するボルガン県において、気象学的、生態学的、文化人類学的調査を海外共同研究者であるJ.Chuluun氏と実施しているが、観測を継続して、解析をすすめた。過去のデータの解析より、冬営地と夏営地の冬期の気象条件では後者の体感気温の低さが顕著であることが定量的に明らかにされ、営地選択に関する遊牧知の有効性が検証された。また、モンゴル国南部の乾燥したゴビ地域でのゾドへの対応について現地調査を行い、比較的湿潤な北部地域の事例としてボルガンとの比較研究を行った。 4)研究によって得られた災害に関する知識や遊牧知を、セミナー実施によって普及する。 2012年秋のボルガン県で開催されるモンゴルー日本国交樹立40年記念会において、本研究の成果を、とくに遊牧知について発表することが決まった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モンゴル気象水文研究所の協力が十分に得られたため、現地でのデータ収集や調査、意見交換などが順調にすすんだ。牧畜気象観測システムの開発に関しては、一部の測器の在庫不足で遅れが出たが、2012年6月頃の納品が確実になり、2012年8月の調査時にはモンゴルに持参する目途がたった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ボルガンにおける遊牧知の検証の中でも、とくに放牧圧に注目した観測をあらたに行う。また、営地の選択に関する遊牧知を早期警戒システムに組み込むことを目的に、衛星による表面気温の解析を実施する。 新牧畜気象観測システムの開発をすすめ、2012年夏より試験的な運用を開始する予定である。
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Research Products
(8 results)