2013 Fiscal Year Annual Research Report
炭素・水素同位体比観測による北半球高緯度での大気中メタン変動の解明
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23310012
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森本 真司 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30270424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 周司 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00183129)
山内 恭 国立極地研究所, 研究教育系, 教授 (00141995)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 物質循環 / 環境計測 / 温室効果気体 / 同位体比 |
Research Abstract |
大気中のメタン(CH4)は、二酸化炭素(CO2)に次ぐ重要な温室効果気体としてその動態が注目されているが、生成・消滅過程が非常に複雑であるため、その濃度変動の原因はまだ十分に理解されていない。また、北半球高緯度域には大量の有機物及びメタンハイドレートが貯蔵されており、温暖化によって大量のCH4が大気へ放出される可能性が指摘されているが、系統的な観測データが不足していることから、現在のCH4放出源の変動に関する知見についても未だ十分ではない。本研究では、北半球高緯度の4地点(スバールバル諸島ニーオルスン、カナダ・チャーチル、ロシア・スルグート、北太平洋航路北緯55度地点)において大気中のCH4濃度とCH4放出源に関する情報を持つCH4炭素・水素同位体比の系統的な時系列観測を実施し、北半球高緯度におけるCH4放出源それぞれの寄与と変動を明らかにすることを目的とする。 本年度は、これまで維持してきたニーオルスン、チャーチル、スルグート、北太平洋航路北緯55度地点での系統的なCH4濃度、CH4同位体比の時系列観測を継続し、引き続き高精度データを蓄積した。また、ニーオルスンとチャーチルで観測されたCH4濃度とその同位体比について初期解析を行い、2006年以降再び増加の始まったCH4濃度の変動原因について考察した。さらに、我々が採用している連続フロー式質量分析計を用いたCH4同位体比分析において、大気中のクリプトンが妨害因子として影響を与えていることが最近明らかになったため、その影響を補正するための基礎実験を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、北半球高緯度域4地点でのCH4濃度・同位体比観測が順調に行われており、CH4放出源・消滅源の変動を議論することが可能な高精度データが得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き北半球高緯度域でのCH4濃度・同位体比観測を維持し、高精度時系列データの蓄積を図る。さらに、環北極域4地点でのメタン濃度・同位体比データの解析を進め、メタン放出源の変動の検出と変動原因の解明を目指す。大気中クリプトンの同位体比分析値への影響を取り除くための補正項を実験的に求め、過去にさかのぼって同位体比データを補正し、国際的な同位体比スケールとの整合性を確認する。
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Research Products
(6 results)