2012 Fiscal Year Annual Research Report
PCB全異性体209種の超微量分析による非意図的生成PCB異性体の探索
Project/Area Number |
23310023
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
竹内 一郎 愛媛大学, 農学部, 教授 (30212020)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 公栄 愛媛大学, 農学部, 教授 (50116927)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 環境 / 有害化学物質 / PCBs / 超微量分析 / 非意図的生成異性体 |
Research Abstract |
平成24年度は、平成23年度にサクラマス等を対象に実施した高分解能ガスクロマトグラフ質量分析計HRGC/HRMS 等によるポリ塩化ビフェニール(PCBs)の全異性体209種の超微量分析方法に準拠し、鳥取県、兵庫県、岡山県、高知県、熊本県等の西日本近海各地から採集したスズキLateolabrax japonicus、ヒラスズキLateolabrax latus、有明海産スズキLateolabrax sp. B、および、広島県、愛媛県産の養殖タイリクスズキLateolabrax sp. Aの超微量分析を実施した。クリーンアップ回収率補正用の内部標準物質の平均回収率は良好な結果が得られた。 今回、分析を行ったスズキ等の生物試料からは、PCBsの全異性体209種中、約130~160種の異性体が検出された。総PCBs濃度では、最大は兵庫県の瀬戸内海側から採取されたスズキの80 ng/g (湿重)、最小は愛媛県南部の養殖タイリクスズキの1 ng/g (湿重)、平均は約15 ng/g (湿重)であった。PCBsの同族体組成に関しては、ほとんどの試料で5~7塩素化物が優占し総PCBs濃度の7割以上を占めたが、愛媛県の養殖タイリクスズキでは低塩素化PCBsの割合が相対的に高かった。異性体毎にみると、日本で生産されたPCBs製剤であるカネクロールシリーズ製品中の主要な異性体の一つである#153がほとんどの生物試料から最も高い割合で検出されたが、兵庫県の瀬戸内海側等から採集したスズキでは#99が比較的高い濃度で検出された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、高分解能ガスクロマトグラフ質量分析計HRGC/HRMS 等により、スズキLateolabrax japonicus、ヒラスズキLateolabrax latus等のスズキ類のPCBsの全異性体209種の超微量分析を実施し、これらの魚類のPCBs全異性体の濃度インベントリーを作成することができた。また、クリーンアップ回収率補正用の内部標準物質の平均回収率は良好な結果が得られた。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の最終年度である平成25年度は下記の研究を予定している。 1) アジア近隣諸国等から採取したサケ・マス類、スズキ類等の魚類のPCBsの全異性体209種の超微量分析を実施し濃度インベントリーを作成する。 2) これまでの高分解能ガスクロマトグラフ質量分析計HRGC/HRMSの分析チャートを検討したところ、日本近海の魚類試料中には非意図的に生成されたと考えられるPCBs異性体がカネクロール製品中の主要な異性体とピークが重複して検出されている可能性が示唆された。よって、濃度が高い日本産のスズキ類等を対象に、これらのPCBs異性体を高精度で定量するためにHRGC/HRMSの分析方法、特に、ピーク分離等の改良を行う。 3) 平成25年度までの分析結果を基に、既知のカネクロール製品のPCBの各異性体濃度インベントリーと比較し、非意図的に生成されたPCBs異性体を探索し、国際シンポジウム等で報告する。
|
Research Products
(1 results)