Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鐘ヶ江 秀彦 立命館大学, 政策科学部, 教授 (90302976)
富野 暉一郎 龍谷大学, 政策学部, 教授 (70263499)
藤井 康代 京都学園大学, バイオ環境学部, 准教授 (90434662)
城月 雅大 高知大学, 教育研究部・総合科学系, 特任助教 (60532265)
大槻 知史 高知大学, 教育研究部・総合科学系, 准教授 (40399077)
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Research Abstract |
1.竹材の伐採,炭化および農地埋設までのLC-CO_2による隔離炭素量の推定と経済コスト評価 (1)コストとバイオマス量の計測,および竹材炭化実験 亀岡市内の放棄竹林において,ブッシュチョッパーを用いた竹林伐採を実施し,経済コストおよびバイオマス賦存量の計測を行った.また,竹を炭材とした簡易炭化器による炭化実験を行い,LC-CO_2評価のための基礎データを得た. (2)LCA計算 上記データと,水田・畑地における炭素貯留データ等を総合し,LC-CO_2評価モデルを検討・考案した.この評価モデルは,平成24年度に論文発表する予定である. 2.農地が有する炭素クレジットの保証と流通および炭素貯留野菜ブランド規格 (1)検査規格の作成 適正な農地炭素貯留の担保を目的として,バイオ炭の製造標準書および品質規格標準書を作成した. (2)農地炭素貯留に係る各種書式等の作成 適正な農地炭素貯留を実現するために,各種申請書,品質保証各種書式を作成した.またこれらの書式を用いて炭素貯留の認証を行う団体(京都府や亀岡市との協働)の組織化に着手した. 3.炭素貯留野菜の消費者による選好評価 (1)農地炭素貯留ブランドの販売実験 炭素貯留農地で栽培される野菜を「クルベジ」という名称でブランド化し,一般消費者に対する販売実験を行った.同時に,アンケート等によるWTPの計測を行い,今後のブランドの普及のためのデータを収集した. (2)農地炭素貯留活動への協賛 企業のCSRの一環として,農地炭素貯留プロジェクトへの協賛を呼びかけたところ,大和ハウスほか5社からの協賛を得た. 4.地域小中学校における炭素貯留野菜を使った給食を通じた食育 農地炭素貯留野菜を地域小中学校の給食に対して持続的に供給するための課題を,農業者と小中学校関係者,給食センターの関係者等から構成される検討会にて協議し,平成24年度以降の給食への普及に一定の目途をつけた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画されていた平成23年度の研究スケジュールは,ほぼ全て順調に消化することができた.特に,農地炭素貯留を核とした社会スキームの核となる認証組織の設立に一定の目途を付けることができ,バイオ炭の製造企画案や炭素貯留認証に係る書式などスキームにとって重要な要素を整備することができた.また,われわれの社会スキームを持続可能な形で普及させるための鍵となる企業協賛についても順調に拡大し,地域レベルの社会運動への発展可能性が高まった.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り,平成24年度も研究プロジェクトを推進していく. 第1に,竹林からの伐採,竹材の炭化および農地埋設までのLC-CO_2による隔離炭素量の推定と経済コスト評価を行う.地域の竹林保有者等に聞き取り調査を行い,整備の希望等実態の調査を行う.その上で,竹林整備および簡易炭化器を使った竹炭製造を実施し,前年度同様,炭化による炭素固定量を計測する.また炭素固定量の既存データを利用し,竹林整備の始めから炭化の終了時までのLC-CO_2と経済評価を実施し,簡易型の炭素隔離量計測方法を考案する. 第2に,農地が有する炭素クレジットの保証と販売および炭素貯留野菜ブランド規格を策定する.一定量の炭素量を保持したバイオ炭入り堆肥の製造とその炭堆肥の供給散布による初期第三者認証のシステムの開発を目指す.同時に,炭素クレジット保証のための農林地へのバイオ炭埋設の検証手法の開発を行う.さらに,ある一定の地域(府県単位程度)における炭素クレジットのボランティアマーケットを創設し流通を行う.また,炭堆肥による炭素貯留を実施した農林業者への聞き取りを通じて炭素貯留野菜規格の課題の絞り込みを行う. 第3に,炭素貯留野菜の消費者による選好評価を行う.炭素貯留野菜の選好の程度を定量的に把握するために,留置法もしくは郵送法等による質問紙調査を実施する.対象は,炭素貯留野菜を学校給食により供給を受けた家庭,一般の家庭の二属性とする.本調査結果を分析し,支払意志額と選好の差異を比較評価する.これにより,地域住民の選好の傾向と,教育との関連性を明らかにする.また,前年度に販売店の現場で実施した簡易の選好調査の結果と本調査結果とを比較する.これにより,提示された支払意志額の妥当性を評価する. 第4に,地域小中学校における炭素貯留野菜を使った給食(地域環境ブランド)を通じた食育を行う.給食への供給を行うとともに,WSを実施する.WSは,炭素貯留野菜とこれを核とした社会スキームについてのより詳細な理解をするためのものとする.なお,高知県及び滋賀県においても同様の企画を実施する.
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