2011 Fiscal Year Annual Research Report
ライブイメージングを利用した新規試験法による発達神経毒性評価と毒性発現機序の解明
Project/Area Number |
23310043
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
塚原 伸治 埼玉大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (90318824)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 文彦 独立行政法人国立環境研究所, 環境健康研究センター, 主任研究員 (40382866)
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Keywords | ライブイメージング / 神経突起 / アポトーシス / ヒ素 |
Research Abstract |
神経発達障害を引き起こす化学物質の毒性については関心が高いが、膨大な数にのぼる化学物質すべての毒性評価は困難であり、健康リスク低減に向けて、データの信頼性を損なうことなく毒性試験の作業効率を向上させる必要がある。脳発達において、神経細胞は神経突起を伸長して互いに連絡し、神経回路を構築する。また、神経細胞がアポトーシスを起こして選択的に脱落することも適切な神経回路の構築に重要である。本研究の目的は、神経突起や細胞死を指標にして、発達神経毒性評価の作業効率向上が見込める培養細胞を用いた新規試験法を開発することである。さらに、開発試験法によって評価された被験物質の毒性メカニズムを明らかにし、動物個体の曝露試験結果と開発試験法の結果を比較検証することで開発試験法の有用性と信頼性を提示することである。 本年度は、蛍光タンパク質を強制発現させたマウス神経芽腫由来細胞株Neuro2Aのライブイメージングを行うことで、評価作業の効率向上に役立つ新規試験法の開発をすすめた。その結果、イメージング画像から算出した神経突起と細胞体の面積比とアポトーシス誘導によって波長が変化する蛍光タンパク質の輝度値を指標にすることで神経突起形成と細胞生存性への影響を同時に評価可能な試験法を確立した。Neuro2A細胞をライブイメージングして、神経突起形成と細胞生存性に対する亜ヒ酸ナトリウム(0,1,5,10μM)の影響を調べた結果、神経突起は曝露量に依存して退縮し、高用量曝露ではアポトーシスが誘導された。我々は、これまでの研究から亜ヒ酸ナトリウムを曝露した細胞ではカスパーゼ3の活性が上昇することを既に見出しているので、カスパーゼ3活性調節に関与するBcl-2とBaxの発現に対する曝露影響を調べた。その結果、亜ヒ酸ナトリウム曝露により、アポトーシス抑制に関与するBcl-2の発現は減少し、アポトーシス促進に関与するBaxの発現は上昇することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該研究年度に計画した通りの研究を実施し、成果を得ているから。
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Strategy for Future Research Activity |
Neuro2A細胞の神経突起に影響を及ぼす亜ヒ酸ナトリウムの曝露量はアポトーシスを誘導する曝露量よりも低く、神経突起形成は化学物質に対して脆弱であることが示唆された。次年度は神経突起形成に影響を及ぼす亜ヒ酸ナトリウムの毒性メカニズムを解析する。また、神経突起と細胞生存性に対する曝露影響を同時に解析することが可能なライブイメージング手法を開発したので、亜ヒ酸ナトリウム以外の被験物質についても検討する。
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Research Products
(22 results)