2011 Fiscal Year Annual Research Report
有機スズによるGluR2発現減少メカニズムの解明とin vivo神経影響評価
Project/Area Number |
23310047
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
古武 弥一郎 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (20335649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 茂 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (60160503)
小椋 康光 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (40292677)
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Keywords | 有機スズ / グルタミン酸受容体 / GluR2 / 核呼吸因子-1 |
Research Abstract |
研究代表者らは、脳に常在する濃度付近の有機スズによる影響を調べる過程で、20nMトリブチルスズ(TBT)を大脳皮質初代培養神経細胞に培養2日目から9日間曝露することにより、AMPA型グルタミン酸受容体GluR2サブユニットのタンパク質およびmRNAが持続的に減少することを報告してきた。本年度は主として、GluR2を発現している大脳皮質初代培養神経細胞を用いて、生体に常在する濃度に近い濃度のTBTによるGluR2発現減少の上流にあるGluR2転写に与える影響の解明を行った。GluR2遺伝子の転写調節領域を調べたところ、転写促進因子としてSp1および核呼吸因子-1(Nuclear respiratory factor-1, Nrf-1)が、転写抑制因子としてRESTが想定されたため、これらの関与をゲルシフトアッセイにより調べた。その結果、20nM TBTはSp1やRESTの結合活性を変化させないものの、Nrf-1の結合活性を減弱させることが示唆された。次に、クロマチン免疫沈降法によりNrf-1結合配列の増減を調べたところ、20nM TBTによりNrf-1結合配列の増幅量はコントロールと比較して減少していることが明らかとなった。両実験結果より、TBTは転写因子であるNrf-1を阻害することにより、GluR2発現を減少させていることが示唆された。Nrf-1は電子伝達系複合体のうち核がコードするサブユニットの大部分の転写に関与しており、TBTによるNrf-1活性低下は、ミトコンドリア呼吸鎖等にも影響を与える可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TBTによるGluR2発現減少の鍵を握ると考えられる転写因子を見出したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はTBTによるNrf-1阻害を介したGluR2発現減少メカニズムの詳細に迫るとともに、in ivoでGluR2発現減少がどのような影響を与えるかについて調べる予定である。
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Research Products
(9 results)