2012 Fiscal Year Annual Research Report
過疎地研究と災害研究を融合した減災社会モデル構築のための基礎的研究
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23310102
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
横山 壽一 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (10200916)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 純一 北陸学院大学, 人間総合学部, 准教授 (10455082)
神林 康弘 金沢大学, 医学系, 講師 (20345630)
井上 英夫 金沢大学, 法学系, 教授 (40114011)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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Keywords | 減災社会 / 復旧・復興 / 被災地 / 過疎高齢化 |
Research Abstract |
東日本大地震の被災地での調査研究を対象に加え、陸前高田市における仮設住宅入居者への聞き取り、沿岸エリア居住者の生活復興にかかわる聞き取り等を実施し、被災地における復興・復旧過程における被災者の生活実態を把握した。 また、岩手県の大槌町、山田町、宮城県の塩竈市、石巻市等を対象に復興状況に関する聞き取り調査等を実施し、災害時および復興時における地域医療の在り方を検討した。 さらに、2004年にスマトラ沖地震・津波で甚大な被害を受けたインドネシア・アチェ州において、医療機関、政府関係機関、シアンクアラ大学津波減災研究センター、漁業協同組合被災地住民への聞き取り調査を行い、8年間の復興の現状とと減災への取り組みについて具体的な状況把握を行った。 これらを通して、以下のことが明らかにできた。第一は、被災によって他地域への移住を余儀なくされている人、今なお仮設住宅に住み安定した住居を得ることができていない人たちが、安心して住み続けるうえで地域医療が決定的な役割を果たすこと、第二は、そのうえで雇用・住宅・教育をセットにしたまちづくりが、生活再建のためにも、減災体制の構築の上でも最優先の課題であること、第三は、防災から復興および日常的な危機管理に至る取り組みを一体的に行う体制を整備することが減災にとって不可欠であること、第四は、災害経験を教訓化して次の世代にも伝え、災害発生時に活用できる仕組みを行政、民間組織、市民のそれぞれのレベルで確立することが減災を可能にすること以上である。 加えて、これらの取り組みを通じて、減災研究における海外研究機関との連携および研究者間のネットワークづくりと北陸地域における災害研究の拠点づくりにつながる進展がえられたことも今年度の成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究において、以下の内容について明らかにできたことから、上記の評価とした。 ①現行の被災社支援制度の枠組みそれ自体の問題点、②復興と地域の持続性を維持するうえでの居住の福祉的側面の重要性、③医療・雇用・住宅・教育の一体的な支援と基盤づくりの減災への寄与、④自然環境との付き合い、共同体の互酬的規範に依拠した防災・減殺の取り組みの有効性、⑤防災・復興・危機管理の一体的体制構築の有効性と必要性。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果の整理・分析、補強すべき論点にかかわる実態調査の継続、減災社会モデルの構築、研究終了後における研究の継続のためのネットワークづくり、報告書の作成に取り組む。 具体的には、東日本大震災被災地・被災者を対象とする生活復興・生活再建の課題および減災社会づくりに向けた取り組みに関する実態調査、インドネシアなど海外における減災社会づくりの取り組みに関する実態調査、これら研究成果の整理・分析とそれを踏まえた過疎・超高齢化・低成長社会における減災社会づくり、そのモデル構築の根拠と必要性および実現可能性を盛り込んだ報告書の作成、研究成果の学会等での発表およびフォーラムの開催などに取り組む。
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