2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23310125
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
釜井 俊孝 京都大学, 防災研究所, 教授 (10277379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末峯 章 京都大学, 防災研究所, 准教授 (00109092)
王 功輝 京都大学, 防災研究所, 助教 (50372553)
澁谷 拓郎 京都大学, 防災研究所, 助教 (70187417)
西山 賢一 徳島大学, 大学院・ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部, 准教授 (60363131)
秦 吉弥 日本工営株式会社, 中央研究所, 研究員 (80463561)
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Keywords | 地すべり / 地震 / 観測 |
Research Abstract |
従来に比べて格段に精細な時間分解能"で地すべりの動態観測を実施し、動的現象としての地すべり変動の実態を解明すると共に、新たな地すべり変動論(ダイナミック地すべり現象学)の構築を目指す研究である。本年度は、東日本大震災に際し、仙台市緑が丘4丁目で発生した宅地盛り土地すべりにおいて一連の観測を行った。具体的には長い時間スパンでの地すべり変動を見るための地表傾斜センサー、高速サンプリングによって動的な地すべり変動を見るための地中変位(傾斜)計と地表設置static加速度センサー、間隙水圧計、及び地震計(加速度計、速度計)を組み合わせて実施した。その結果、地表傾斜センサーでは、2011年7月から12月の問に累積で約1度の変動が観測された。約2cmの水平変位があった事になり、地表亀裂に見られた開口傾向と一致する。また、間隙水圧の長期的変動も降水量と調和的であった。地中変位計(100Hzサンプリング)では、余震による地盤傾斜の変化が場所により、深さ(層準)によって異なることが判明した。地震のタイプによって程度は異なるが、盛土の下底、基岩の弱層(亜炭層)等の層序的な最弱部で、地盤の傾斜(≒せん断ひずみ)は最も増幅された。そして、それよりも上部の盛土では増幅が小さい傾向が認められた。すなわち、地震波の上方伝播に対する軟弱層のバリアー効果が顕著に現れた。また、非地震性の微動のうち、間隙水圧の変動を伴い、かつ観測孔間で時間遅れ(伝播)が見られるものが確認された。この時の過剰間隙水圧は、約0.04kPa(4mm水頭)とごくわずかだが、非弾性的な挙動(上昇側だけが見られる)が認められた。これらのことから、こうした微動は重力性の地すべり変動を示している可能性がある。こうした一連の観測によって、地すべりの構造が地震応答の変化をもたらし、地すべり運動の局所化に繋がって行く過程が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
偶然にも研究のスタートと同時に東日本大震災が発生し、多くの宅地盛り土地すべりが発生した。そのうち、観測施設を設置した仙台市緑が丘4丁目地すべりでは、その後の余震や降雨によって地すべり変動が継続した。すなわち、本研究にとって最適なフィールドが得られ、貴重なデータを収集することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度も観測を継続するとともに、23年度に得られた膨大な観測データを整理・解析する。さらに昨年度採取した試料を使って繰り返し3軸圧縮試験を実施し、剛性率と繰り返しせん断ひずみの関係を調べる。これと昨年度作成した本震波形を入力として、地すべりの動的変形解析を実施する。
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