2011 Fiscal Year Annual Research Report
長鎖非コード(linc)RNA遺伝子トラップマウスを用いた個体レベルの機能解析
Project/Area Number |
23310135
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
荒木 喜美 熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 准教授 (90211705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 正健 熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 准教授 (80271609)
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Keywords | 遺伝子トラップ / 非コードRNA / X-gal染色 / 変異マウス |
Research Abstract |
我々は、可変型遺伝子トラップベクターを用い、マウスES細胞において遺伝子トラップクローンのリソースを構築してきた。現在までに、1046クローンにおいて、トラップされた遺伝子の配列を5'RACEにより同定している。この中で、5'RACE配列が、2009年Guttmanらによって発表されたLarge intervening RNA (lincRNA)領域内にヒットするものが33クローン存在した。これらのトラップベクター挿入部位を決定し、その場所の遺伝子構造等詳細に検討、snoRNAホスト遺伝子等lincRNAとは考えられないものを除外した結果、19クローンを1incRNAトラップクローンとして選択した。18クローンはマウスラインを樹立、残る1クローンもキメラマウスを作製済みである。 ラインを樹立した18クローンについて、1.転写産物の同定、2.ES細胞及びマウス個体を用いたXiga1染色による発現解析、3.ヘテロ接合体同士の交配で得られた産仔の遺伝子型解析、を行った。 1.EST等対応する配列が報告されているものは11クローンあったので、そのようなESTもない8クローンについて、3'RACEを行った。その結果、4クローシはエクソン-イントロン構造のある新規転写産物を同定でき、3クローンはゲノム上一続きの配列が得られた。 2.ES細胞のX-gal染色では19クローン中11クローン、成体マウスのX-gal染色は解析を行った13系統のうち、11系統において染色が観察され、これらのlincRNAがマウス個体においても発現していることが強く示唆された。しかも、その発現は1系統を除いて非常に限局的であり、興味深い。 3.ヘテロ接合体同士の交配を行った10系統において、全てホモ接合体が出生・離乳することが分り、致死性を示すものは無かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的としたほぼ全てのマウスラインの樹立に成功し、発現解析も順調に進んでいる。対応するESTも無いようなクローンにおいても、転写産物の同定に成功、さらに、マウス個体で発現が観察され、新規の非コードRNAを同定できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までにヘテロ接合体同士の交配を行った全ての系統において、ホモ接合体が外見上正常に離乳まで生育しており、胚性致死になるものが少ないことが分った。今後は、ホモ接合体において、トラップしたlincRNAの発現がどの程度低下しているのか確認し、X-gal染色陽性であった組織に焦点を当て、表現型解析を行う。また、lincRNAに近接する遺伝子にも注目し、その発現変化が見られるかどうか検討する。 発現の見られた組織・胎児については、組織切片レベルでX-gal染色を行い、発現細胞を明らかにしていく。
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Research Products
(17 results)