2011 Fiscal Year Annual Research Report
生物現象を制御する細胞間グリコシドシグナル分子の発見と生物有機化学
Project/Area Number |
23310147
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
上田 実 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60265931)
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Keywords | Glycosylation Switching / ジャスモン酸配糖体 / 標的タンパク / cDNAライブラリー |
Research Abstract |
ジャスモン酸は、細胞質のCOI1-JAZ受容体と結合して各種の生理活性を発現するが、一方、その配糖体はもはやCOI1-JAZ受容体とは結合せず、細胞膜上の異なる受容体に作用してイオンチャネルを活性化する。これは、あるリガンド分子の生物活性と受容体が、配糖体化によってスイッチを切り替えるように全く異なるものへと交換される現象であり、複数の標的をもつ天然物リガンドの標的を制御するための全く新しい分子機構である。このような活性のスイッチング機構を"Glycosylation Switching"と名付けた。本年は、"Glycosylation Switching"に関連するタンパク質群の分子的実体を解明するために、両鏡像体型コンパクト分子プローブおよび、そのジアステレオマーの合成と生物活性評価、また、これらを用いた各種標識化実験を行った。標識化実験の結果より、膜標的タンパク質MTJGは、リガンドのグリコン部分の構造も認識していることが示唆された。また、膜標的の精製を検討し、モデル植物シロイヌナズナにおける結合タンパク質精製についても検討を行った。シロイヌナズナにおいても、MTJGと同等の分子量を与える結合タンパク質が検出されたが、質量分析装置を用いた配列解析実験の結果、MTJGとは全く異なるものであることが明らかとなった。シロイヌナズナにおけるジャスモン酸配糖体応答と併せて、今後解析を進めていく予定である。また、アメリカネムノキcDNAライブラリーを作成し、運動現象への関係が推定されるチャネル分子のクローニングを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
"Glycosylation Switching"が、ヒトなどの動物系にも存在する可能性を考慮して、発展的展開にも着手した。
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Strategy for Future Research Activity |
"Glycosylation Switching"が、生物界に広く存在することを示すために、植物のみならず、動物における可能性を模索する。
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