2012 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ保守主義レジームの成立・展開とグローバル化の関連をめぐる総合的研究
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23310175
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Research Institution | Hokkai School of Commerce |
Principal Investigator |
古矢 旬 北海商科大学, 商学部, 教授 (90091488)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 文明 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (00126046)
大津留 智恵子 関西大学, 法学部, 教授 (20194219)
西崎 文子 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (60237691)
小檜山 ルイ 東京女子大学, 公私立大学の部局等, 教授 (70186782)
酒井 啓子 千葉大学, 法経学部, 教授 (40401442)
宮田 智之(近藤智之) 東京大学, 総合文化研究科, 助教 (00596843)
尾崎 一郎 北海道大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (00233510)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 保守化 / グローバル化 / アフガニスタン戦争 / イラク戦争 / 対テロ戦争 / 新自由主義 / リーマン・ショック / 2012年大統領選挙 |
Research Abstract |
本年度は、前年度に引き続き80年代から90年代にかけて成立した、アメリカ保守主義レジームの(とくに21世紀に入って以後の)展開過程の解明に努めた。分担者の個別研究成果は、すでにいくつか活字化されているが、本年度共同研究の結果、研究分担者の間では、以下のような認識が共有されるに至った。第一に、90年代とは異なり、アメリカの保守主義レジームは、二度にわたるバブル経済の破綻を経て、2008年以降は大きな転換点を迎えたという点である。90年代の新自由主義的コンセンサスが大きく揺らぎ、貧困・格差問題が深刻化したことは、オバマ政権登場の主因となった。それ以後、かつての保守主義レジームは、共和党保守派と民主党リベラル派とを両極とする分裂政治に取って代わられた。第二に、保守主義レジームの下では、当然視された対外的には新自由主義的な対外経済政策を推進するための軍事力の行使に対する国内外の批判が強まり、アメリカ対外政策の単独主義的傾向に歯止めがかかった点が注目される。 本研究では、この内外二重の変化の原因を突き止めることを目的として、数名の研究分担者が2012年大統領選挙の現地視察に赴き、現地の政策担当者、歴史家、政治研究者、ティー・パーティーに参加する草の根の保守主義的な社会運動家らとのインタビューを行った。 こうした現地踏査と文献研究をとおして、あきらかになったことの一つは、アメリカのグローバル戦略の力点が、大西洋をはさんでの対西欧、対中東から、アジア太平洋地域に移りつつあることである。こうした新しい対外指針と、国内政治の保守ーリベラルの拮抗状態との関連をあきらかにすることが、次年度以降の重要課題となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調 研究代表者を含め、アメリカ合衆国で現地調査を行った研究分担者は、本研究の遂行にとり重要な、研究協力者との交流を深め、意見交換を活発に行った。本研究に関わる二次文献の出版が相次いでいるが、これらをきちんとフォローし、蒐集に努めている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に当たるため、各分担者には研究課題に関わる個別論文の執筆が求められる。また具体的な追加研究課題として、オバマ第一期政権と保守主義レジームの関わりの解明がある。それは、オバマ第二期政権以後のアメリカ政治全体の見通しを付けるためにも必要な作業となる。
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Research Products
(38 results)