2011 Fiscal Year Annual Research Report
アジア・太平洋戦争および現代世界における大規模暴力をめぐる総合的比較研究
Project/Area Number |
23310177
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
中野 聡 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (00227852)
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Keywords | 歴史学 / 政治学 / 社会学 / 地域研究 / 社会系心理学 |
Research Abstract |
アジア・太平洋戦争における大規模暴力について日本において展開してきた研究蓄積をふまえ、その成果を内戦・圧制・対テロ戦争などにおける現代世界の大規模暴力をめぐる海外の研究と交流させることを目的とする本研究プロジェクトは、平成23年度の研究実施計画にしたがって、(1)「真実和解」の研究・実践プロセスに関するフィールド調査・ネットワーク構築事業として、研究代表者・中野聡がアメリカ合衆国(2011年8~9月)、フランス(同11月)、韓国(同11月)、カンボジア(2012年3月)、中国(同3月)において、連携研究者・永井均がフィリピン(2011年8月)、連携研究者・栗田禎子(2011年7月)がドイツにおいてそれぞれ調査を実施し、(2)若手研究協力者の公募事業として、それぞれ平成23年度を通じて高誠晩が韓国において、荒沢千賀子がスペインにおいてそれぞれフィールド調査を行い、(3)海外ワークショップとして上記(1)とも重なるが、中野が2011年11月にフランスのパリ第3大学で小シンポジウムを実施し、2012年3月には中野と連携研究者の笠原十九司および海外研究協力者のヤン・ダーチン(楊大慶)、リカルド・ホセ、リディア・ホセを中核とする訪問団を組織して南京大学中華民国史研究センターにおいて日中米比4カ国合同の研究会議を開催した。以上を通じて、平成23年度の主要な課題であった研究交流(ネットワーク構築)・研究調査について順調に計画を進めることができた。とりわけ、南京大学中華民国史研究センターにおける研究会議では、南京事件・マニラ戦研究をめぐって中国とフィリピンの研究者を初めてネットワーキングすることに成功しただけでなく、第2次世界大戦史研究を現代世界の大規模暴力をめぐる真実と和解の実践・研究にどのように結びつけていくかという本プロジェクトの中心課題について日中比で豊かなディスカッションを実現することができたことは特筆すべき成果であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本プロジェクトは(1)研究交流(ネットワーク構築)、(2)研究(フィールド)調査、(3)国際研究集会を中心に展開しており、初年度(平成23年度)は(1)に重点をおくとした。実際には、日程の都合上(1)で意図していたアフリカ・東南アジア・ヨーロッパ諸国などで24年度以降に訪問調査を先送りしたものもあるが、(3)については予定より早く南京大学で国際研究集会を実施することができた。(2)については公募若手研究協力者を含めて順調に展開している。以上より全体としておおむね順調に進展していると言って良いと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
現代世界の大規模暴力をめぐる「真実和解」プロセスと第2次世界大戦史研究を交流させるというプロジェクトをいっそう推進するために、対象地域としてのアフリカ(とくにルワンダ共和国)、中南米、東南アジア(カンボジア、インドネシア、ASEAN平和と和解研究所設立の動き)に対するネットワーク構築とフィールド調査をさらに進める。課題として浮かび上がっているのは、現代世界における「真実和解」プロセスを主導している欧米を中心とする国際社会の関与のあり方を、第二次世界大戦後の戦犯裁判とも比較しながら検討していくことである。この点で、EU、米国の主要関係機関・研究拠点ならびにホロコースト博物館や関連する国際的財団・NPOと平成24年度中にできる限りコンタクトをひろげていくことが必要であり、研究代表者・連携研究者を中心に訪問・調査を進めていきたい。
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Research Products
(34 results)
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[Presentation] Battle of Manila : Truths and Memories2012
Author(s)
NAKANO, Satoshi
Organizer
暴行,創傷,記憶体:中、日、菲三国二戦及戦后経験国際学術研討会-Atrocity, Trauma and Memory : Symposium on Experiences of China, Japan and Philippines during and after the World War II
Place of Presentation
南京大学中華民国研究中心(中国)
Year and Date
2012-03-27
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[Presentation] 河村たかし名古屋市長発言問題について2012
Author(s)
笠原十九司
Organizer
暴行,創傷,記憶体:中、日、菲三国二戦及戦后経験国際学術研討会-Atrocity, Trauma and Memory : Symposium on Experiences of China, Japan and Philippines during and after the World War II
Place of Presentation
南京大学中華民国研究中心(中国)
Year and Date
2012-03-27
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