2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23320026
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
松居 竜五 龍谷大学, 国際文化学部, 教授 (40238952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥山 直司 高野山大学, 文学部, 教授 (50177193)
橋爪 博幸 桐生大学短期大学部, 短期大学部, 講師 (40412978)
安田 忠典 関西大学, 人間健康学部, 准教授 (90388413)
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Keywords | 南方熊楠 / 生態学 / 民俗学 / 仏教学 / エコロジー / 英文論文 / アジア学 / 往復書簡 |
Research Abstract |
4月に田村義也、岸本昌也、志村真幸の3名のRAを雇用した。7月に勉誠出版より『南方熊楠とアジア』を刊行し、8月5日に和歌山県田辺市の南方熊楠顕彰館において合評会を開催した。この合評会には、松居の他に研究分担者の奥山・安田・橋爪、連携研究者の小峯・千本、およびRAの田村・志村が参加した。同書には、インド・デリー大学教授のタンカ氏、中国精華大学研究員の高陽氏も寄稿していただき、南方熊楠の研究をアジア圏に広げる試みをおこなっている。4月より12月まで、ほぼ毎月松居が東京に出張して、『南方熊楠大事典』編纂のための研究会をおこない、この成果として1月に勉誠出版より同書を刊行した。これは全800頁に渡り「思想・生活」「生涯」「人名録」「著作」「資料」「年譜」の六部構成で南方熊楠の全体像に迫ったものであり、研究史的にも一時代を画すものとしての評価を得ることができた。4月より2月までほぼ毎月松居および志村が東京に出張し、『南方熊楠英文論文〔ノーツ・アンド・クエリーズ〕誌篇』の作業を進め、粗稿を完成、2012年度秋頃の刊行(集英社)を見込んでいる。これに関連して松居は3月にロンドンに出張し、熊楠の足跡に関する資料の収集をおこなった。 4月より3月までほぼ毎月田村が関西に出張し、東京と関西でおこなわれている翻刻のための研究会に参加して、両者の調整をおこなった。田村は南方熊楠顕彰館にもほぼ月ベースで出張し、岸本とも協力して『南方熊楠・小畔四郎往復書簡(四)大正十三年』を顕彰館叢書として刊行した。松居は7月から8月にかけて南方熊楠顕彰館でおこなわれた「南方熊楠のアメリカ時代」展を組織し、8月6日に関連のシンポジウムをおこなった。橋爪は2月に慶尚大学校で開かれた修験道の国際シンポジウムに招かれ「南方熊楠と熊野修験道、山岳信仰」と題して40分間の口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全体としては順調である。特に、1月に刊行した『南方熊楠大事典』はこれまでの研究を集大成したものであり、書評も多く出て高い評価を得た。一方、懸案の大正期の日記の出版に関しては、難読字や周辺状況の最後の詰めがなかなか進まないために、今年度も実現できず、遅延気味であることは否めない。
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Strategy for Future Research Activity |
『南方熊楠大事典』の刊行により基礎ができたために、今後さまざまな方面での研究がやりやすくなったと考えている。2012年5月に予定している合評会で論点を整理して、それらの論点に関する個別の研究会を組織していく方向で検討を進めている。 一方、日記の刊行については、今後も刊行に向けての努力を続けるが、計画をある程度後倒しせざるを得ないのが現状である。今回の科研では完成が難しく、最終年度以降も継続して作業を続けられるように準備することになる。
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