2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23320030
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
秋山 聰 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (50293113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 康宏 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (50141990)
板倉 聖哲 東京大学, 東洋文化研究所, 准教授 (00242074)
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Keywords | 美術史 / コレクション / 聖遺物 / 比較宗教美術史 / 宝物 / 所蔵目録 |
Research Abstract |
年度を通じて、当該研究課題に関連した文献・画像資料の収集を、とりわけ国内に架蔵図書が著しく不足している西洋の事例に関して精力的に行なった。また研究代表者は、2012年7月に開催予定の国際美術史学会ニュルンベルク世界大会の比較宗教美術史セクションの共同座長に指名されたため、5月にその準備会議に参加し、当該研究についても各国からの参加者との意見交換を行うことができた。また発表者を決定する作業自体が、本研究テーマの知見を深めるのに大いに役に立った。夏季休暇期間中にも二度にわたり渡欧し、イタリア、ドイツ、英国、オランダにおいて、美術と宝物に関わる資料調査を行ない、東西比較の対象としうる事例の整理を進めえた。日本美術担当研究分担者(佐藤)は、専ら関西地区における南画分野と煎茶道具の調査を精力的に行ない、その受容の諸相についての知見を深めるとともに、契丹の宝物を実見し、その様式の平安絵画や工芸意匠との類似を確認しえた。東洋美術担当研究分担者(板倉)は、夏季休暇中に谷文鬼一門粉本調査を行ない、400点以上の粉本を調査し、多くの研究者との意見交換を行うことが出来、幕末における絵画コレクションの様相の解明につながる手がかりを得、成果の一部を口頭ならびに論文発表した。西洋担当連携研究者(福島)は、フランス中部の教会宝物の実地調査を行なうとともに、他の連携研究者、研究協力者らとともに、西洋における宗教的宝物研究の基盤となりうる著作、コラン・ド・プランシーの『聖遺物・聖画像辞典』の訳出に取り組んだ。なお研究代表者は、次年度以降の東西比較の基盤データの作成とすべく、研究協力者の助力を得つつ、西洋における教会・修道院ならびに世俗宮廷の種々の宝物目録の分析に着手し、重要部分の訳出とデータの整理に取り組んだ。加えて、次年度7月に予定されている国際美術史学会における比較宗教美術史セクションにおいても、本研究の成果を活用しうるべく、相応の準備をも進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大震災の影響による軽微な変更等はあったが、初年度としての計画はおおむね順調に遂行された。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度についても、おおむね当初の研究計画に沿って研究を推進できるものと思われる。
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