2012 Fiscal Year Annual Research Report
装飾とデザインのジャポニスム―西欧におけるその概念形成と実作の研究
Project/Area Number |
23320046
|
Research Institution | The National Museum of Western Art, Tokyo |
Principal Investigator |
馬渕 明子 独立行政法人国立美術館国立西洋美術館, その他の部局等, 館長 (30114656)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 知香 お茶の水女子大学, 人間文化創生科学研究所, 教授 (20282890)
池田 祐子 独立行政法人国立美術館京都国立近代美術館, 学芸課, 研究員 (50270492)
高木 陽子 文化学園大学, 服飾学部, 教授 (60307999)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | ジャポニスム / 装飾 / デザイン / 工芸 / アール・ヌーヴォー / アール・デコ |
Research Abstract |
平成24年度は、12月に予定されている国際シンポジウムの発表に向けて各自調査研究を行った。馬渕はパリ装飾美術館およびオルセー美術館資料室において、1900年前後の装飾工芸デザイナーによって、日本美術がどのように応用されたか、彼ら自身あるいは周辺の言説で日本美術のどの要素が応用に値すると考えられていたか、を調査した。天野はパリ装飾美術館や国立図書館において、アンリ・デュナンやアイリーン・グレイといった漆を用いた工芸作家がどのような技法を用いて、どのような美学で作品を制作したかを調査した。池田はハンブルクにおいて1890年代の工芸美術館の館長であったブリンクマンの論文の分析や、工芸デザイナーのオットー・エックマンの作品調査を通じて、日本美術の応用の美学と実践を調査した。高木はブリュッセルの建築・工芸家が日本のどのようなデザインの要素を用いて建築装飾を行ったかの調査を行った。12月のシンポジウムでは英、米、西の研究者を招へいし連携研究者も含めて10名の発表を行い、世紀末から20世紀の欧米で日本美術を参照した多くのジャポニスムの装飾とデザインの例が示され、各国、各美術家がどのような視点でそれらを制作し、その意義はどのようなものだったのかの分析が示され、多くの専門家との質疑討論が行われた。その結果を更なる調査研究にフィードバックして、翌年度の報告書の刊行に向けて精度を高めることになった。なお、今年度は調査館の都合で、予定していたナンシーでの調査が先送りとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各自の調査研究成果を、2年度目に国際シンポジウムで発表し、意見交換を行った。その結果、情報と論の不足を補う方策を入手し、3年度目に継続して研究の精度を高めることができる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今回はジャポニスムに関して、代表的な機関や美術家の装飾とデザインの実作と理論に関わる研究を行ったが、近年ジャポニスムがさらに広い地域で発展した例証が出てきている。たとえばイタリアやスペイン、北欧など。そのような地域での同様の問題を調査研究する必要があると考える。
|