2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23320139
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
服部 英雄 九州大学, 比較社会文化研究科(研究院), 名誉教授 (60107521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五味 文彦 放送大学, 教養学部, 教授 (60011326)
神田 由築 お茶の水女子大学, その他部局等, 教授 (60320925)
高野 信治 九州大学, 比較社会文化研究科(研究院), 教授 (90179466)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 賤視 / 皮革 / 太鼓 / 胴内墨書 / 皮多 / 非人 / 賤民視された人々の文化への貢献 / 賤民視された人々の社会的役割 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度としてまとめを行い、今後の研究の方向性を以下のように提示する。5カ年の研究期間を通じて、わたしたちは、差別される環境に耐えて、力強く生きてきた人びとの歴史を明らかにしてきた。これまでの歴史叙述では賤民視された彼ら彼女らは貧しく劣悪な環境におかれ、虐げられた生活のみを強いられたとされてきた。確かにそうした一面はあったから、否定はできない。しかしそれはすべてではない。 教科書には河原ノ者は河原に住んだと記述するものがある。しかし都市拡大で移転した村の跡には寺院が建設されるケースがいくつかある。河原は皮革を鞣す作業場でこそあれ、宅地にはならない。河原に住んでいたというような歴史理解では、子孫が祖先の活動を誇ることはできない。明治維新で武士階級はほどなく解体した。だが解放令があったにもかかわらず、江戸時代まで賤民とされてきた人たちの社会(ムラ)はなかなかに解体しなかった。なぜか。否定的な側面ばかりではなかったからではないか。富みは確実にあった。皮革がなければヨロイも馬具も太鼓も履き物(綱貫=つなぬき)もできない。いずれも高額な高級品で、武士や寺社が賤民(河原ノ者、エタ)に発注した。近世にも近代にも皮革業の独占があり、不足する皮革は江戸時代から海外交易にて補充するほどで、賤民とされた階層が皮革貿易を独占して富みを蓄積した。周囲の目は残酷で冷たかったが、かばいあうムラの中は暖かく、一般ムラよりもむしろ真に人間らしい、やさしさがあった。 最終年度では中村久子『対馬非人等史料 諸覚書』(2016)を刊行した。服部英雄『太鼓の履歴書』も近刊の準備ができた。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)