2011 Fiscal Year Annual Research Report
近現代ヨーロッパにおける文化衝突と自他認識-記憶・記録・史料-
Project/Area Number |
23320157
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
近藤 和彦 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (90011387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
姫岡 とし子 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (80206581)
坂下 史 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (90326132)
勝田 俊輔 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (00313180)
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Keywords | 西洋史 / 記録 / 記憶 / 史料 / 文化衝突 / ヨーロッパ / 文明 |
Research Abstract |
この共同研究は、近現代ヨーロッパ人の対他文化衝突にともなう認識とアイデンティティの構築を、その記憶・記録・史料のありかた、教育や儀礼をつうじての再生産に焦点をあわせて総合的に明らかにするものである。 初年度である平成23年度には、第1に、研究組織を構成する研究分担者および連携研究者の全12名が参加する研究会を3回催した。すなわち5月8日(東京)、9月22~23日(熱海)、1月9日(東京)に、課題と分担を確認し、研究史の整理をふまえて具体的で批判的な史料分析と議論を呈示して活発に討論することができた。もう少し頻繁に研究会をもつことができれば理想的だが、各人多忙であり全員が会する研究会はこれでせいぜいであり、内容的にはそれだけ濃密で充実していた。これに加えてメールによる討論も継続し、また一部メンバーは7月14日、3月20日にも東京で研究の集いをもった。第2に、これらと並行して各研究者は文献調査と海外出張によるリサーチを重ねた。出張においては、史料調査とともに当該分野の研究者と最新情報および意見の交換がおこなわれた。なお近年の史料のディジタル化によって研究は効率的に進んでいる。第3に、これらを通じてえられる学術情報を整理し、登録するために、電子機器や文房具を購入し、研究支援者を雇用し、謝金を支弁しつつ、データベース化した。 近現代ヨーロッパ人が他者に遭遇し、異質なものの理解を迫られ、あらたな知を獲得する局面で残した記録に注目し、積極的な史料論により、近現代史の再構築をめざすという本研究の目的は、計画のとおりに着実に進展中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年間の共同研究として始まった最初の年度であり、研究グループとしての課題の確認、相互り研究史的背景の理解、具体的な史料および方法についての討議といった点で所期のとおりの達成をみた。全員が各大学で多忙な研究教育行政に従事していることを考慮すると、順調な進展といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
代表者は平成24年4月に東京大学から立正大学に転任したが、この研究プロジェクトについて基本線は変更なく進行する。第2年度には、国の内外でのリサーチ、研究会の推進が主となるが、9月、英国ケインブリッジ大学における国際研究集会への取り組みも一つの結節点である。第3年度には全メンバーによる海外研修会、そして全体的な成果の発表が課題となる。対外的な衝撃・接触・交渉によって異質なものを学び摂取し、たえまなく旧来のシステムを編成替えするところにヨーロッパ文明の力を認めつつ、批判的な分析を推進する。
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Research Products
(16 results)