2011 Fiscal Year Annual Research Report
近代ヨーロッパを中心とする空間的移動の実態と移動の論理に関する比較史研究
Project/Area Number |
23320164
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
北村 暁夫 日本女子大学, 文学部, 教授 (00186264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 恭子 富山大学, 人文学部, 准教授 (10313579)
田中 ひかる 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (00272774)
山本 明代 名古屋市立大学, 人文社会系研究科, 教授 (70363950)
一政 史織(野村史織) 中央大学, 法学部, 准教授 (20512320)
木村 真 日本女子大学, 文学部, 研究員 (20302820)
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Keywords | 国際情報交換(フランスなど) / 近代ヨーロッパ / 空間的移動 / 移民 / 亡命 / 日常的実践 / ネットワーク / アソシエーション |
Research Abstract |
本研究は、17世紀から20世紀前半までの近代ヨーロッパにおける、さまざまな形態の空間的な移動(国内移動/ヨーロッパ諸国間の移動/大陸間移動、経済的な移民/政治亡命/難民)を対象として、移動する人々を移動という行為を実践する行為主体として捉えたうえで、移動の動機、移動先や移動手段の選定、移動後の生活の構築といった諸点を比較検討することによって、移動をめぐる論理を明らかにすることを目的としている。初年度である平成23年度は、二回の研究会を実施した。第1回研究会(平成23年7月9日開催)では、参加者全員が自らの専門とする地域における移動の個別事例を提示し、各人の問題関心を参加者全員が共有するとともに、今後の共同研究の遂行に向けて論点のすり合わせを行った。具体的には、国家の政策的意図と移動の実態との距離を測定すること、個人の行動を世帯の行動のなかに位置づけること、移動者たちが作るアソシエーションに着目することなどが、重要な論点であることが確認された。また、この研究会では、4年間にわたる本研究の具体的な研究計画を策定した。第2回研究会(平成23年12月10日)では、「帝政ロシアの移住と植民」、「アナーキスト赤十字による活動」の二つの報告が行われ、経済的な動機による国内移動と政治的な動機から大西洋を渡る移動の双方において、人的ネットワークが重要な役割を果たしていることが明らかにされた。また、研究会活動とは別に、各人が研究対象地域における史資料調査や文献購入を通じて、それぞれの研究を進めた。さらに、プロジェクトのホームページを作成し、研究成果を広く社会(世界)に発信するための基礎を築いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度における大きな目標であった、参加者各人による移動の個別事例の提示と問題関心の共有について達成することができたことや、研究の遂行に必要な図書や設備の購入、対象地域における史資料調査がおおよそ順調に進められ、次年度以降における研究遂行のための基礎固めが達成されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度(2年目)と平成25年年度(3年目)に、欧米から研究者を招聘し、本研究参加者との研究に関する意見交換会と国際シンポジウムの開催を遂行する。すでに平成24年度については、オランダ・ライデン大学教授レオ・ルカッセン教授の招聘が決定しているが、平成25年度については未定であり、招聘者を決定することが今後の課題である。また、平成26年度(最終年)には日本西洋史学会大会において本研究参加者が報告するシンポジウムを開催することを計画している。こうした活動以外に、各人は引き続き対象地域における史資料調査や図書の購入を行い、それに基づく分析作業を進めることで、個別の研究を進展させる予定である。
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Research Products
(9 results)