2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23320170
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上原 真人 京都大学, 文学研究科, 教授 (70132743)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉井 秀夫 京都大学, 文学研究科, 准教授 (90252410)
阪口 英毅 京都大学, 文学研究科, 助教 (50314167)
上野 祥史 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, その他 (90332121)
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Keywords | 考古学 / 古墳時代 / 横穴式石室 / 青松塚古墳 |
Research Abstract |
平成23年度においては、1947年に調査がおこなわれ、古墳時代後期の須恵器・馬具・横穴式石室などの編年を考える上で重要な位置を占めながら、正式な報告がなされていない大阪府茨木市青松塚古墳の実態を明らかにするための基礎作業を進めた。 第1に、京都大学総合博物館に保管されている1947年調査出土遺物の保存状態を確認しつつ、遺物の種類および個数を確認し、台帳を作成した。また、馬具をはじめとする金属製遺物については、元興寺文化財研究所に依頼してX線撮影をおこない、実測調査を開始するための準備作業を進めた。 第2に、京都大学考古学研究室で保管している小林行雄考古資料に残されている、青松塚古墳関連図面・写真・日誌類の整理をおこなった。その結果、調査当時の墳丘測量図・横穴式石室実測図・遺物出土状況図・土器を中心とする遺物略測図が存在することを確認した。これらの図面については、デジタルトレースをおこない、今後の調査研究の基礎資料として活用できるようにした。 第3に、北大阪けいさつ病院構内に残っている青松塚古墳の墳丘測量調査および横穴式石室の実測調査をおこなった。その結果、1947年当時にくらべて、墳丘はところどころで流失が進んでいること、玄室・羨道共、50cm~70cm程度埋没していることが明らかになった。今回の測量により、未実測であった玄室南壁を図化することができ、さらに墳丘と石室の関係を明確にすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究申請段階においては、1947年調査時の出土遺物のうち、茨木市で保管されている須恵器・土師器については、茨木市から貸借を受けて京都大学で整理することを想定していた。しかし、本格的に研究をはじめた段階で、『茨城市史』編さんのために、茨木市側で整理・調査中であることが明らかになり、遺物全体の把握・検討作業については、茨城市側の整理作業が一段落してから、茨木市側と改めて調整を進めることになった。そのかわり、小林行雄考古資料に保管されている遺物目録および遺物略測図をもとに大まかな出土状況を把握することにつとめた。茨木市側のご厚意により、須恵器・土師器の調査自体はすでに認めていただいているので、今後の調査により研究の遅れを挽回したい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度における基礎的な整理作業により、遺物整理および古墳・石室の本格的な調査をおこなうための条件はほぼ整えられた。平成24年度からは、馬具類・土器類を中心として、遺物の実測作業を進めていきたい。また、古墳・石室については、測量調査成果をもとに、その特徴を検討すると共に、石室の構造および墳丘との関係を明らかにするための発掘調査をおこなう準備を進めたい。
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Research Products
(9 results)