2011 Fiscal Year Annual Research Report
東京湾西岸地域における旧帝国海軍軍事遺跡の基礎的研究
Project/Area Number |
23320172
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
安藤 広道 慶應義塾大学, 文学部, 准教授 (80311158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 彰子 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (20239065)
櫻井 準也 尚美学園大学, 総合政策学部, 教授 (80317271)
都倉 武之 慶應義塾大学, 福澤研究センター, 講師 (10383358)
千葉 毅 神奈川県立歴史博物館, 学芸部, 学芸員 (70589845)
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Keywords | 軍事遺跡 / 戦争遺跡 / アジア太平洋戦争 / 海軍 / 3次元測量 / 考古学 / 文献史学 / オーラルヒストリー |
Research Abstract |
23年度は、考古学的調査として(1)地下壕の測量、(2)発掘調査、(3)現況確認調査、(4)過去の調査記録・出土遺物の整理、(5)軍事遺跡のデータベース作成、歴史学的調査として(6)写真・図面のデジタル化、(7)日吉台一帯の軍事遺跡関連の文献史料の収集とデジタル化、(8)軍事遺跡関係者へのインタビューを実施した。 (1)については、東日本大震災による基準点のズレを考慮し、まず慶應義塾日吉キャンパス内外でGPS測量を行い、今後の測量用の基準点を設置するところから始めた。基準点の設置後、入坑可能な連合艦隊司令部地下壕を対象に、レーザースキャナーによる壕内の3次元測量を実施し、併せて3次元データに貼り付けるための写真を約3mごとにデジタルカメラで撮影した。 (2)については、日吉キャンパス蝮谷体育館北側における調整池建設に先立ち、地下壕関連遺構の有無を確認するためのトレンチ調査を実施した。(3)としては、今後の発掘調査等の計画を立てる意味を含め、各地下壕出入口を中心に悉皆的な踏査を行った。(4)については、過去に回収されていた日吉キャンパス内の軍事遺跡関係遺物の分類や注記等の基礎的整理を実施。併せて、艦政本部地下壕、航空本部等地下等、その他小規模地下壕のこれまでの調査記録の整理にも着手した。(5)としては、まずは発掘調査報告書に記録された軍事遺跡についてのデータを集めた。 (6)としては、キャンパス内の戦前・戦後の写真、図面をリストアップし、キャンパスの被災状況等が読み取れる資料を中心にデジタル化を行った。(7)については、文献史料の収集のほか、日吉台地下壕保存の会の2002年以前の会報を、会の許可を得てPDFに加工し、公開に向けての準備を進めた。(8)としては、地下壕の情報を知る方のインタビューを実施した。 以上の調査は、24年度以降も継続するが、いずれも学術的な調査成果の蓄積が進んでいない軍事遺跡研究における基礎資料として重要な意味をもつことは疑いない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一部当初計画を変更したものの、おおむね計画通りに研究を進めることができた。また、当初計画になかった調査も幾つか実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に沿って研究を実施することが基本となる。ただ、地下壕の出入口等の位置、構造の確認にあたっては、小規模な発掘で充分把握できることが判明したため、当初予定していた表面波探査ではなく発掘調査に変更することにしたい。
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