2012 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本の地方拠点都市の成長と人間主体の社会空間的活動に関する歴史地理学的研究
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23320180
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
山根 拓 富山大学, 人間発達科学部, 教授 (30222376)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 僚太郎 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 教授 (70202215)
河野 敬一 常磐大学, 人間科学部, 教授 (70211894)
河原 典史 立命館大学, 文学部, 教授 (60278489)
三木 理史 奈良大学, 文学部, 教授 (60239209)
川崎 俊郎 福島工業高等専門学校, 一般教養部, 准教授 (80290708)
天野 宏司 駿河台大学, 現代文化学部, 准教授 (40383294)
松山 薫 東北公益文科大学, 公益学部, 准教授 (70337244)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 近代日本 / 地方拠点都市 / 人間主体 / 都市機能 / 歴史地理学 / 内地 / 植民地 |
Research Abstract |
3年間の研究期間の中間年に当たる今年度については,各々が具体的な調査研究を進展させ,それぞれできるところから学会報告や論文執筆に携わることが目標であった。本研究課題においては,各々が近代日本(植民地地域も含む)の複数の都市や地域を比較の視点も入れながら丹念に調査することが第一に重要なことであり,今年度は各人が現地調査中心に研究を遂行した。その結果は費目別執行費をみると,旅費が突出していることにも表れている。調査に時間を割かれたためか,業績の中で特に論文・書籍の形での成果や学会発表はあまり出ていない。研究代表者の山根も,敦賀・長崎・広島の国内3都市において調査を行ったが,なかなか調査等を基にした論文執筆が進まず,やや後れを取っている。学会発表としては,2012年8月にチェコ・プラハで開催された国際学会・第15回ICHG(15th International Conference of Historical Geographers:国際歴史地理学会)において近代敦賀の事例を報告した程度である。 ただし,各自の研究内容を相互にチェックしあい,研究組織全体の研究進捗状況を相互に確認し先の見通しを立てる必要があるため,昨年提出した交付申請書の研究計画にも記したとおり,今年度は2012年7月と2013年1月の2回にわたり,いずれも東京で本科研の全体打合せ集会を行った。その場で今年度の各研究代表者・分担者の研究が着実に前進していることは確認された。山根は3都市(敦賀・広島・長崎)の近代発展過程での人間主体の見極めや当時の各地の「構造」に関わる「地域観」や「地域構想」を,新聞記事などを中心にピックアップしつつある。他の分担者も担当地域について人間主体と地域形成の関係に関する重要資料を蓄積・分析し,一定の知見に到達しつつある。これらが研究打合せ会議では確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
この評価は,現状では具体的な成果に乏しいところ(口頭発表・論文・書籍等の数に現れるところの)によるものである。その理由として,第一には,特にシニア世代を中心に,本務校の教育関係以外の業務が責任ある立場に立たされ大変に忙しくなった上に,学会業務に関する役職等が重なり,また他の科研研究等に加わっていること等もあって,各人がなかなか本研究に集中できない環境があるということではなかろうか。また,二つ目の理由として,本研究課題の場合,現地調査が必要とはいえ,取扱う時代が近代であることから,現代に関する地域調査とは異なり,有効な史資料の発掘(特に近代期の人物に関する伝記や自叙伝・日記等の資料,新聞記事等)や古い時代に関する聞き取りが調査の中心となる。まず,こうした資料調査に一定の時間がかかる。適当な資料を見つけ出すのが難しい事情がある。旧植民地地域等の海外での調査の場合は,この難しさはなおさらである。さらに,持ちかえった史資料の解読や分析にも,時間と労力がかかることは自明である。したがって,着実に研究は進んでいるがそれなりの研究時間を必要としているということがある。
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Strategy for Future Research Activity |
「理由」欄に記したように,業績のアウトプットは現段階では少ないが,研究は現在も進行中である。我々は平成25年度の本研究課題に関しては,成果の公表を促進することが出来る様に,今後について次の二つのことを考えている。 その一つは,2013年8月に京都で開催されるIGU(国際地理学連合)地域集会(regional conference)という国際学会におけるジョイントセッション“Geographical thinking of the modern Japanese territory: the mainland, the colonial areas and their interactional space”(近代日本の領域に関する地理学的考察―本土,植民地,相互作用空間)の開催である。この科研研究組織のメンバーのうち3名がこのセッションに参加し,科研研究の成果を中心に報告・討論することになっている。さらにもう一つは,2014年3月に開催予定の日本地理学会春季学術大会での本科研を基にしたシンポジウムの開催(シンポジウムタイトル未定)である。この開催と全員参加の原則については既に各研究分担者にも確認した。したがって,これらの研究成果発表の場をさだめているため,各人ともこれら二つの学会をメドに研究成果をまとめることになろう。また,本年も2度にわたる研究打合せ会を開催する予定であり,そこでも相互に討論とチェックにより,研究のまとめに向けた各人の研究の現状・計画の確認を行う予定である。 研究代表者はもとより,各分担者もスピードアップして研究に取り組む所存である。
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Research Products
(9 results)