2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23330007
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
笹田 栄司 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (20205876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山元 一 慶應義塾大学, 法務研究科, 教授 (10222382)
村上 裕章 九州大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (20210015)
宍戸 常寿 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (20292815)
林 知更 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (30292816)
國分 典子 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 教授 (40259312)
鈴木 秀美 大阪大学, その他の研究科, 教授 (50247475)
中林 暁生 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (70312535)
赤坂 正浩 立教大学, 法学部, 教授 (80167816)
佐々木 雅寿 北海道大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (90215731)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 違憲審査制 / 調査官 / 憲法裁判所 |
Research Abstract |
違憲審査の活性化のための方策を検討する本研究は平成24年度において、二度の研究会を開催した。(昨年度から通算して)第三回研究会では、イタリア及びドイツの最近の憲法裁判に焦点を当て、「イタリア憲法裁判所の“担い手”と役割をめぐる考察」(報告者:芦田淳国立国会図書館主査、コメンテーター山元一慶應大学教授)、及び、「ドイツ連邦憲法裁判所に対する批判論の諸局面-レプシウスとメラースの所説を手がかりに」(報告者:松本和彦大阪大学教授、コメンテーター:林知更東京大学准教授)が報告された。第4回研究会では、アメリカの違憲審査制の起源を検討する「マーベリ判決の神話」(報告者:勝田卓也大阪市大教授、コメンテーター:中林暁生東北大学准教授)、我が国の判例理論を対象にする「立法行為(立法不作為を含む)の国賠違法判断と2タイプ規範区別論」(報告者:大石和彦筑波大学教授、コメンテーター:村上裕章九州大学教授)が報告された。これらの報告を通じて、各国の違憲審査制の現状、及び我が国の判例理論について知見を深めることができた。 本研究メンバーによる関係業績も次第に増えている。研究分担者である佐々木雅寿は、「人権保障は、最高裁と立法府や政治部門との対話という相互作用により実現するという視点から違憲審査を捉える対話理論」を、「最高裁と国会や政治部門との関係を、時間の流れの中で、ダイナミックな相互作用として動態的に捉える視点」に据え、違憲審査の民主的正当性、人権の救済などについて、新しい見解を提示している。まだ、乗り越えるべき課題はあるにしても、本研究の方向性を示すものと言える(佐々木「対話的違憲審査の理論―法の支配と憲法的対話の融合―」新世代法政策学研究19号1~107頁)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に開催された研究会でのゲスト報告者及びメンバーとの討論等を通じて、イタリア憲法裁判所、ドイツ連邦憲法裁判所、アメリカ連邦最高裁判所の現状、及び我が国の最高裁判例の一端が明らかになった。これにより、違憲審査活性化についての研究の方向性がメンバ―間で共有された。また、ドイツ連邦憲法裁判所アイヒベルガ―判事、調査官、及び事務局次長、さらに、藤田宙靖前最高裁判事にヒアリングを行うことにより、違憲審査制、及び違憲審査を担当する最高裁(憲法裁)判事をサポートする調査官制度について、十分な知見を得ることができた。加えて、研究の進展ぶりはメンバーによる業績の公表という形で明らかになっている(参照、「研究発表」欄)。
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Strategy for Future Research Activity |
違憲審査活性化にとって重要な意味をもつ違憲審査基準について研究会を開催する。ドイツ型三段階審査の主唱者の一人である小山剛慶應大学教授に報告をお願いする予定である。テーマは、アメリカ型違憲審査基準と対比した三段階審査理論の特徴、及び、我が国の憲法解釈学への導入に際しての問題点の検討である。 次に、違憲審査を担当する最高裁(憲法裁)判事をサポートする調査官制度について、研究メンバーを報告者とする研究会を開催する。取り上げる予定の国は、ドイツ、アメリカ、フランス、カナダ、韓国、そして日本である。また、調査官制度について、今年度は、フランスについて山元一慶應大学教授、そして韓国について國分典子筑波大学教授が海外調査を行う。調査官制度に関する研究会は、両メンバーの海外調査終了後の3月を予定している。
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Research Products
(13 results)