2012 Fiscal Year Annual Research Report
現代日本における最高裁の役割と制度的・人的構成に関する実証的研究
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23330011
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
市川 正人 立命館大学, 法務研究科, 教授 (10184615)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 和生 立命館大学, 法務研究科, 教授 (00268129)
倉田 原志 立命館大学, 法務研究科, 教授 (10263352)
倉田 玲 立命館大学, 法学部, 教授 (20368012)
吉村 良一 立命館大学, 法務研究科, 教授 (40131312)
渡辺 千原 立命館大学, 法学部, 教授 (50309085)
松宮 孝明 立命館大学, 法務研究科, 教授 (80199851)
和田 真一 立命館大学, 法務研究科, 教授 (80240547)
大久保 史郎 立命館大学, 法務研究科, 教授 (90066720)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 公法学 / 最高裁判所 / 違憲審査制 / 司法 / 裁判法 / 憲法の番人 / 法の支配 / 裁判官 |
Research Abstract |
本研究の3つの柱について以下のように研究を進めた。 本研究の第1の柱は、平成期の最高裁判決を対象に、判決内容を訴訟領域ごと、小法廷・大法廷ごとに分析し、最高裁判所の現実の役割と特徴に最高裁判所の人的構成がどのように関連するかを検討することであるが、本年度は前年度に引き続き平成11年以降の最高裁判決を対象として実施した。ただ、既に本研究の申請の準備段階での研究会および前年度の全体研究会で、憲法、行政法、民法、商法、刑法、経済刑法、刑事訴訟法に関する最高裁判決を検討しているので、今年度は、研究参加者各自がそれぞれ、自己が専門とする分野につき最高裁判決の分析を進め、後掲「研究発表」欄記載の通りの成果をあげている。 本研究の第2の柱である最高裁裁判官人事の分析については、昨年度における全体的な考察を踏まえ、より実証的な分析を行うために最高裁判決・最高裁裁判官についてのデータベース作成作業を進めた。 データベース作業班は、作業方針・進行状況について数次の会合を行う一方で、各法領域について最高裁判決における各裁判官の意見についてのラベリング作業を行い、一部の法領域についてはその作業を終え、全体データベースに反映されている。 本研究の第3の柱である諸外国の最高裁判所の分析を通じての比較分析、類型的特徴の抽出については、前年度実施したアメリカ・カナダ、ドイツに対する実地調査を検討する全体研究会、韓国に対する実地調査とその検討のための全体研究会を実施し、さらに、フランス、オーストラリアに対する実地調査を行った(両国の調査は年度末であったため、全体会での検討は翌年度実施する)。こうした諸外国の実地調査を通じて、日本の最高裁判所・司法制度の特質と、他方、現代国家の司法・裁判所の共通点が明らかになりつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の3つの柱について概ね計画通り研究が進んでいる。しかし、第1の柱である、最高裁判所の人的構成と最高裁判所の現実の役割・特徴との関連の分野ごとの検討をさらに進めるには、最高裁裁判官データベースの完成が必要であり、その取りあえずの完成を待っている状況にある。しかし、平成期の最高裁判決に限っても、最高裁裁判官の意見のラベリングは相当な作業量が必要であるため、一部の領域を除いてなお完成していない。 諸外国の実地調査は既に当初予定の6ケ国につき実施でき、現職の最高裁裁判官のインタビューも実現するなど大きな成果をあげている。
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Strategy for Future Research Activity |
第1の柱である、最高裁の人的構成と最高裁の現実の役割・特徴との関連の分野ごとの検討については、これまで全体研究会で取り上げていない民事訴訟法、労働法、税法の分野についての全体研究会を行うと共に、最高裁裁判官データベースの取りあえずの完成を待って各分野での最終分析を行う。 そのためにも最高裁裁判官データベース作成にとって必要な、最高裁裁判官意見のラベリング作業を急ぐ。 また、これまでの諸外国の実地調査とその検討結果を踏まえて、日本の元最高裁裁判官と諸外国(アメリカ、ドイツ、フランス、韓国)の元最高裁裁判官、研究者などを招聘しての国際シンポジウムを開催する。具体的には、最高裁判所の憲法の番人の側面に焦点を当てた、国際シンポジウムである「現代社会(国家)における最高裁判所の使命と役割─最高裁がその使命と役割を果たすために何をなすべきか、何が必要か─」(仮称)を開催して、最高裁判所・憲法裁判所を適切に機能させるための人的・制度的基盤を追求する。 この国際シンポジウム、および、第1の柱、第2の柱の研究成果を踏まえて、わが国の最高裁判所が憲法の番人、法の支配の担い手としてより積極的に活動していくために必要な制度的、人的基盤についての提言をまとめて本研究を終える。
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Research Products
(16 results)