2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23330014
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
濱本 正太郎 京都大学, 法学研究科, 教授 (50324900)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅田 正彦 京都大学, 法学研究科, 教授 (90192939)
亀本 洋 京都大学, 法学研究科, 教授 (30183784)
酒井 啓亘 京都大学, 法学研究科, 教授 (80252807)
鈴木 基史 京都大学, 公共政策連携研究部, 教授 (00278780)
曽我部 真裕 京都大学, 法学研究科, 准教授 (80362549)
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Keywords | 国際法 / トランスナショナル法 / グローバル化 / 国際秩序 / 私的アクター |
Research Abstract |
本年度は、当初計画通り、先行研究の精査と、それを通じた分野ごとの要検討事例の選択を中心とした。 先行研究としては、 ・グローバル(公)法秩序の全体構想を萌芽的に示すもの ・特定の分野における国際法・国内法の相互浸透を示したり、公私区分の相対化を説いたりするもの があり、本年度はこのうち前者について、以下のように分類した上で、先行研究の網羅的収集とその精査を行った。 (1)「国際共同体構想」を提唱するもの 「社会」と「共同体」との区別(Ferdinand Tonnies)を前提に、国際社会の「国際共同体」への変容を説く議論は従来から見られる。この議論は、なお法の国家間的性質を前提とする点において本研究の構想と必ずしも方向性を同じくしないが、関連性は強く、また、最近新たな展開を見せているところでもあり(例、Mehrdad Payadeh, Internationales Gemeinschaftsrecht, Springer, 2010)、先行研究の調査に着手した。 (2)「国際憲法」を提唱するもの 近年よく見られるようになった「国際憲法」の主張には、相互に関連しつつも、国際法秩序の憲法化という観点からなされているものと、国内憲法体制への国際規範の浸透(「憲法の国際化」)に着目してなされているものとの二つがある。ここでは、その前者(直近の例として、Jan Klabbers et al., The Constitutionalization of International Law, Oxford, 2009)を分析する。この分野に関する研究は近年爆発的に増加しており、本年度はその網羅的収集に力点を置いた。 (3)「憲法の国際化」を提唱するもの Boris Mirkine-Guezevitchの先駆的研究で知られる「憲法の国際化」についても、具体的事例の豊富化に伴い、それら事例を踏まえた理論的研究が増加している(例、Helene Tourard, L' internationalisation des constitutions nationales, LGDJ, 2000)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は年度途中での追加採択であるため、本年度中になすことのできる作業量に限界があることは当初から明白であった。そのため、次年度以降に円滑に研究を遂行するための基盤作りに集中するための、あるていど「謙虚な」研究計画を立てた。それら研究計画については順調に実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降は、資料収集を継続するとともに、本格的な分析検討作業に入る。現段階において、問題点は特に見いだしていない。
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