2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23330035
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
佐藤 恵太 中央大学, 法務研究科, 教授 (60205911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
外川 英明 中央大学, 法学部, 教授 (80407866)
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Keywords | デザイン / 審査後登録主義 |
Research Abstract |
本年度は、意匠法法改正(無審査化)の方向性を得るための基礎調査を中心に行った。 まず第一に、各国の法制度調査(無審査化したイギリス法を母法とするシンガポール法を含む)を行った。その結果、審査のない意匠登録を基礎とする諸国から審査を義務付ける方向へ移行した国地域は存在せず、欧州Directive の影響で、実体要件審査実施国が無審査化する例が数国あることがわかった。加えて海外調査では、ヘーグ協定上の登録機関(世界知的所有権機関WIPO)担当者との意見交換により、アメリカ合衆国法が無審査化に着実に前進し、いまのところ審査後登録主義が完全に排除される方向にはないが、世界統一の方向がやはり無審査化であると判明した。 第二に、未保護領域につき、以下の調査を行った。①著作権法との境界領域(人形等)につき、大量生産品フィギュア原型の著作権紛争を経験した会社関係者が高知に開設する「かっぱ館」、安城、八代や松本等の伝統的雛人形等販売状況の調査を行った。その結果、一品生産か否かという従来裁判例の区別を適用しにくい例が伝統分野でも存在し、さらにデジタル分野になると原型複製の区別が意味を失うので、法制度の区分け方に新たな工夫が必要であり、日本やアメリカ合衆国裁判例が創作性判断を梃に新たな考えを生み出しつつあることが明確になった。②地域産品ならびに「ゆるキャラ」ビジネス展開の調査では、山形などの聞き取りによって、平成18年発足の地域団体商標と異なり意匠は役割を有さず「ゆるキャラ」をめぐるビジネスでも、意匠登録をしている例は少なかった。③物品の配置等のデザインについては、既に用意されている組物意匠制度以外の配置について要保護を裏付ける調査結果は得られなかった。 第三に、海外研究協慮者の意見を得て、平成25年度以降の侵害訴訟の調査対象国をアメリカ合衆国、スウェーデン、オランダ・ベルギー等数か国に限定できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国内の実情調査は、予想以上の成果をあげたが、無審査化した海外諸国の実情調査がやや遅れている。理由は、無審査化移行国が、北欧・韓国等の特殊言語の国が多く、裁判例調査を電子媒体で行うことに予想以上の困難があったからである。
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Strategy for Future Research Activity |
韓国とフィンランドについて、裁判例情報を提供いただけるポイントになりそうな研究者とのコンタクトを進めている(韓国は高麗大学等で内諾者あり)一方、平成25年度に研究代表者が欧州に長期滞在の予定なので、その時に調査を進める。
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