2012 Fiscal Year Annual Research Report
国連安保理改革の重層的研究:歴史、政治、投票力、実効性の観点から
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23330054
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹内 俊隆 大阪大学, 国際公共政策研究科, 教授 (60206951)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HAWKINS Virgil 大阪大学, 国際公共政策研究科, 准教授 (10511040)
敦賀 和外 大阪大学, グローバルコラボレーションセンター, 特任准教授 (40595592)
星野 俊也 大阪大学, 国際公共政策研究科, 教授 (70304045)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国連安全保障理事会 / 安保理改革 / 投票力指数 / バンザフ指数 / 平和構築 / 投票行動 |
Research Abstract |
平成24年度は、1年目にそれぞれが進めてきた研究の成果を共有し、共同研究をスムーズに行うために中間報告研究会(2012年8月、室蘭)を開催した。各研究項目についての進捗状況は下記の通りである。 1.SO指数については、本研究に関連して、SO指数およびバンザフ指数のシミュレーション・プログラムを作成した。そのため、SO指数およびバンザフ指数の算出をきわめて短時間にしかも容易にできるようになった。ただし、実際のシミュレーションは、まだまだほんの数例を試みただけである。実際の投票動向を勘案した加重投票力指数の創案は、新たに創り出す試みであり、予想通り難航している。2.紛争地域の現地調査については、2012年9月に平和維持・平和強制に関する国際会議が開かれ、その会議に会わせて、紛争に対する安保理の対応について聞き取り調査を行った。また2013年2月の南アフリカにおけるワ―クショップでも、安保理の紛争に対する対応について研究者への聞き取り調査を行った。3.P5を含めた有力国の歴史的・政治的調査では、2012年9月にワシントンDCおよびニューヨークで、安保理改革に関する米国政府の意向等について聴取し、意見交換を行った。また、国連政務局の門田政務官他から安保理の慣行や理事国の投票行動に関するデータベースの在り方について助言を得た。2013年3月にデータベースのプロトタイプが完成した。4.安保理決議の内容の調査の一環として、安保理決議の内容を分類化し、検索可能なデータベースの開発を進め、データベースの土台となる安保理決議の内容の分類項目が決定された。そして、過去2年間の研究成果の公表として、2012年12月に本研究のウェブサイト(http://mls-unscr.org)を立ち上げた。英語版の作成に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
米国の国連安保理改革に関する現状の意向調査や全般的な政治的背景把握は、ほぼ計画通りに進捗していると思える。安保理における各理事会の投票行動の分析のための、データベースの作成も、分類方法を確立するなど、ほぼ順調に進展していると思える。投票力(SS およびバンザフ)指数をシミュレーションで行う方法も確立した。実際の試行実験はこれからであるが、方法論を確立したので容易にできるようになった。アフリカなどの紛争地域において、安保理決議の実効性に関する現地聞き取り調査も、十分とはいえないかもしれないが行っている。 しかし、米国の意向調査などはある程度できているが、その他のP5諸国の調査は手つかずなのが現状であり、今後はこの方面の調査も急ぐ必要がある。また、1960年代の政治的背景の把握といった歴史的分析は、調査対象が多岐にわたるため、部分的にしか進行していない。そして、実際の投票行動を加味した加重投票力指数の新たな創案も、予想されていたこととはいえ、まだ五里霧中にあることも事実である。したがって、やや遅れていると判断できるのではないかと思料する。
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Strategy for Future Research Activity |
若干の遅れはあるにしても、計画全般自体の見直しは必要ないと判断している。第一に、投票力指数に関しては、実際の投票行動を基にした理事国間の関係による加重、さらには拒否権も勘案しなければならない上に、こうした要素を含めて計算する数理的手法が確立しておらず、新たに手法を考案しなければならない。そのため、当初から想定はしていたが、そう容易に創案できるものとは思われない。第二に、安保理決議の内容を分類化し、検索可能なデータベースの開発を進めてきた。そして、データベースの土台となる安保理決議の内容の分類項目を決定したので、今年度は安保理決議の各種データ及び加盟国の投票行動をデータベースに入力する作業を行い、この分類項目にしたがって1990年以降の安保理決議に適応する予定である。第三に、安保理改革に関する最新文献に関するレビューをまとめ、既述したように昨年度立ち上げた本研究のウェブサイトの英語版の作成を完了する予定である。そして、第四として安保理改革に関する最新文献に関するレビューをまとめる予定である。
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Research Products
(8 results)