2011 Fiscal Year Annual Research Report
平和構築における治安部門改革(SSR)の課題:軍組織と開発援助ドナー間の連携不備
Project/Area Number |
23330058
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
藤重 博美 法政大学, グローバル教養学部, 准教授 (20509864)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上杉 勇司 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 准教授 (20403610)
青井 千由紀 青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (60383494)
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Keywords | 平和構築 / 紛争後 / 国家再建 / 治安部門改革 / SSR / 開発 / 安全保障 / 英国 |
Research Abstract |
本研究の実施方法・計画について、研究代表者と分担者を中心に当該年度初めに改めて協議した結果、研究の円滑・効率的な実施のため、当該年度は特に、国家再建の必要性に直面する紛争後国の平和構築プロセスにおける治安部門改革(Security Sector Reform : SSR)を支援するドナー側(特にSSRにおける開発と安全保障の連携構築に実績を持つ英国)に焦点を当て、研究を行うことにした。このような方針に基づき、事前の情報収集・資料検討の後、研究代表者(藤重)が二度(2011年11月、2012年2月)にわたって英国で調査を行い、英国政府(特に外務省、国際開発省、国防省、安定化ユニット)のSSR政策立案・実施担当者や当該分野に詳しい研究者から詳細なヒアリングを行った。特に2回目の訪英時には、英国政府関係者を対象としたSSR関係のセミナーにオブザーバー参加する機会を得ることができ、英国のSSR政策に対する情報をさらに集めることができた。また研究分担者の青井も英国で調査を行い(2011年7月)、主に英軍関係者を対象にイラクやアフガニスタンでのSSR支援のあり方と問題について、特に軍組織と開発ドナーの連携問題に焦点を当てヒアリングを行った。一方、紛争後国に対するSSR支援に詳しい海外の識者2名(ジュネーブ軍の民主的統制センター・M.ダウンズ博士・ロンドン大学キングスカレッジ・D.ヘンドリクソン主任研究員)を東京に招聘し(2012年1月)、研究分担者の上杉や研究協力者の吉崎知典(防衛省防衛研究所)、橋本敬市(国際協力機構:JICA)を中心に2日間のワークショップで集中的な討議を行った他、研究会(計2回)、招聘講演、個別の聞き取り等、様々な形で研究活動を実施し「SSRにおける開発と安全保障の連携」に問題に関する知見を深めた。また、本年度内3回にわたりSSR研究会を実施し、本研究に関する議論も進めた。以上の研究活動の成果は、当該補助金受入れ前より既に準備を進めていた本テーマに即した書籍の内容に反映させ、当該年度末までに原稿取りまとめ・編集活動を終えた(共編者:藤重、上杉、吉崎)。同書籍は次年度7月に商業出版され、その成果を広く社会に公開する予定である。また、研究会の議事録等も広島大学のウェブサイト上の公開する予定である
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献収集、読み込み、また海外の研究者を招いての集中的な討議、またSSR研究会の実施等、さらに、その結果を本研究課題採択前から発行の準備を行っていた学術書の内容に反映して出版準備を進める等、おおむね順調に研究を進めている。海外出張については、実施時期や調査場所等に何点か変更があったもの、次年度に実施することで究全体の遂行については、特に問題ないものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題2年目となる本年度は、引き続き、調査研究に力を入れる一方、その成果の取りまとめ・公表にも積極的に取り組んでいく予定である。具体的には文献調査やSSR研究会での討議等を行うことに加え、海外から本研究課題に詳しい有識者を招いてシンポジウムを開催することで、本研究課題の精査を一層すすめる一方、その成果の社会への発信も意欲的に行っていく予定である。また、平行して研究テーマを取りまとめ、学術誌への投稿および学会発表を行っていく。 また、本研究に参加する本年度実施できなかったものについては、本年度中に調査を終えるように計画する他、やむをえない事情により実施が難しい場合には、インターネット電話による聞き取り等により、もれなく情報収集を行っていく予定である。
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