2011 Fiscal Year Annual Research Report
1860年代末のマルクスの信用と恐慌の研究について(抜粋ノートの編集とその活用)
Project/Area Number |
23330069
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
竹永 進 大東文化大学, 経済学部, 教授 (00119538)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 光則 千葉商科大学, 商経学部, 名誉教授 (20049943)
赤間 道夫 愛媛大学, 法文学部, 教授 (30175781)
伊藤 武 大阪経済大学, その他部局等, 名誉教授 (40066816)
平子 友長 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (50126364)
鳥居 伸好 中央大学, 経済学部, 教授 (70217587)
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Keywords | 信用 / 金融 / 貨幣市場 / 恐慌 / 為替 / マルクス / 資本論 / 草稿研究 |
Research Abstract |
科研費交付の第一年度である本年は、新メガ第IV部門第19巻の編集作業のための基礎的な資料の収集、および、本巻収録予定のマルクスの抜粋・切抜き帳のうち可能なものを電子テキスト化することを中心に活動を推し進めた。 具体的には、竹永がイギリスに出張して、切抜き帳P001,P002,P003に収録されている新聞記事のオリジナル(主として1868年から1869年に刊行された19世紀イギリスの日刊紙The Daily News)を、ロンドンのBritish Libraryにおいてマイクロフィルムからコピーした。爾後の作業の基礎データとして役立てるために、約2500枚にのぼる膨大な分量を数日間をかけてコピーして日本に送った。 また、この巻に収録される19世紀イギリスの週刊紙The Money Market Reviewのマイクロフィルムから、マルクスが抜粋に使用している期間に相当する紙面のすべてをマイクロリーダーを使ってPDFの形で電子データ化し、今後編集作業にあたる全員が共有できるようにした。同様に、この巻に収録されるその他の抜粋文献のオリジナルをインターネットを介して収集し、活用可能な形態に転換した。 これらに加え、第二年度にMEGAのテキスト部のフォーマットに従って編集を行うための前提として、上記の三冊の切抜き帳の内容をワープロテキストにする作業を実施した。 また、年度末に開催した全体会合では、ベルリンのブランデンブルク科学アカデミーのMEGA編集担当部署からMEGA編集全体の進捗状況や今後の見通しについての情報提供を受けるとともに、ブラジルで本巻に関連する研究を行っているグループによる研究成果を検討して、次年度以降の本巻の編集作業と関連する研究活動の方針策定に生かすことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は科研費補助を受けられる4年間を通じて、新メガ第IV部門第19巻を刊行するためのテキストを編集し、これに関連して、マルクスの著作・草稿・抜粋ノート・書簡という四種類の異なる資料の比較検討による同時期のマルクスの経済思想・理論に新たな照明をあてることを趣旨とするものであるが、初年度はこの最終目的達成のための当初ステップをほぼ完了し、第二年度につなげていくための基礎ができたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
第二年度も引き続き新メガの当該巻の編集に必要な基礎資料の収集を行うため、これらのうちの重要部分を所蔵しているモスクワのロシアセンター(RGASPI)とアムステルダムの社会史国際研究所に科研費メンバーをそれぞれ2名派遣して作業を継続する予定である。 また、第一年度に開始した3冊の切り抜き帳の内容の電子テキスト化を継続するとともに、抜粋帳B101の内容についても同様の作業を年度内に完了させる予定である。これにより、新メガ当該巻のおよそ半分に相当する部分が電子テキスト化されることになる。 同時にこれらの内容について、マルクスの諸著作・書簡・他の草稿や抜粋ノート類との照合による理論的検討も進めることが必要である。
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