2013 Fiscal Year Annual Research Report
1860年代末のマルクスの信用と恐慌の研究について(抜粋ノートの編集とその活用)
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23330069
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
竹永 進 大東文化大学, 経済学部, 教授 (00119538)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 光則 千葉商科大学, 商経学部, 名誉教授 (20049943)
赤間 道夫 愛媛大学, 法文学部, 教授 (30175781)
平子 友長 一橋大学, 社会(科)学研究科, 教授 (50126364)
窪 俊一 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (50161659)
大谷 禎之介 法政大学, その他部局等, 名誉教授 (70061132)
鳥居 伸好 中央大学, 経済学部, 教授 (70217587)
高畑 明尚 琉球大学, 法文学部, 准教授 (70274876)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | マルクス / 抜粋ノート / 恐慌研究 / 資本論 / 貨幣 / 信用 / 金融 |
Research Abstract |
本年度の課題は、新メガ第IV部門第19巻に収録される予定のマルクスの抜粋ノートおよび切り抜き帳合計7冊に含まれる内容を、新メガの一冊としての刊行に備えるべく定められたフォーマットに従って電子テキスト化するという作業を、完了させることであった。このために、前年度までにすでに終えていた部分を除いて次のような具体的な予定を組んだ。 ノートB101のThe Economistからの抜粋の前半部分を研究分担者の鳥居伸好が仕上げる。ノートB101のThe Economistからの抜粋の後半部分を研究協力者の隅田聡と斉藤幸平が仕上げる。ノートB101のThe Money Market Reviewからの抜粋の全体を研究分担者の赤間道夫が仕上げる。ノートB102の全体を研究代表者の竹永 進が仕上げる。ノートB105の全体を外国人研究協力者のTimm Grassmannが仕上げる。ノートP001の全体を研究協力者の浅川雅己が仕上げる。ノートP002の全体を研究協力者の森下宏美が仕上げる。ノートP003の全体を研究分担者の高畑明尚が仕上げる。 以上の作業予定についての進捗状況を確認し問題点について討論するために、年度中に二回にわたって関係者による全国会合を開催した(2013年10月12日・13日の2日間、一橋大学国立校舎内の佐野書院にて。2014年3月01日・02日の二日間、中央大学多摩キャンパス内の経済研究所会議室と一橋大学の上記施設とにおいて。) 年度末までに上記の予定はほぼ完了したものの、赤間と森下の担当部分が公私にわたるやむを得ない事情のため未完に終わった。これらについては2014年度の早い時期に所期の成果を提出することを上記の3月の会議において当事者の同意の下に確認した。 また、上記のテキスト作成作業と並行して本年度もインターネットなどの電子メディアを通じて抜粋・切り抜き資料の原本の収集を継続し、照合作業に必要な資料すべてを入手することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は4年間にわたって新メガ第IV部門第19巻の刊行に向けたテキスト部分の作成を完了させるとともに、この作業にともなって得られた知見を生かして研究代表者・分担者各人が研究論文を執筆することを当初研究目的としていた。上の「研究実績の概要」の項に記したように、このうちの前半部分については第三年度までにほぼ達成することができた。若干の未達成部分については第四年度中の早い時期に仕上げを行う予定である。 その上で、第四年度においては本研究課題に参加した研究者各人が初年度以来の作業成果を生かして研究論文を執筆し、これを専門雑誌やコンファレンスの場で公表し今回の研究について専門家に広く知らせ評価や批判を仰ぐことにしている。 以上の現状に鑑みて、本研究課題は「おおむね順調に進展している」と言ってよいと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる第四年度目にまず第一に行うべきことは、新メガ第IV部門第19巻のためのテキストの作成を完了させるために前年度までにやり残した若干の部分を早急に仕上げるべく努力することである。当該部分の担当者もこのことの必要性は十分に認識しており、近日中に成果の提出が見込まれる。 最終年度に本研究課題の関係者が取り組みを予定している最大の目標は、現在ドイツとロシアはもちろんその他の世界の各国で進められている新メガの編集と刊行に向けた作業の成果を共有し、また、現在までにすでに刊行されている新メガ各部門の諸巻の意義について議論するために、日本において内外の専門研究者を招聘して国際コンファレンスを開催することである。メガにおいて使用される言語はマルクスとエンゲルスの母国語であるドイツ語をはじめとしたヨーロッパ言語が中心であり、日本の研究者がその編集にかかわろうとすれば宿命的に語学上のハンディを負うことになる。にもかかわらず、日本の研究者が中心となって国際的なコンファレンスを開催することになれば、日本人研究者の力量とその研究のレベルに国際的な認知を得ることに大いに貢献すると思われる。 現在新メガの編集作業は国際的な連携・協力のもとに推し進められているが、そのうちで強力な財政的基盤を持つのはドイツ政府からの援助を得ているベルリンの科学アカデミーのみである。現在得られている援助は2015年にその更新の可否がドイツ政府によって決定されることになっている。2014年2ー3月に予定されている今回の国際コンファレンスの開催は、援助継続の決定を得るためのひとつのデモンストレーションとしても位置付けられ、是非とも成功させたいと考える。
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