2013 Fiscal Year Annual Research Report
周期統計調査のミクロデータによるコーホート分析-文化需要の実証的研究-
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23330073
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
勝浦 正樹 名城大学, 経済学部, 教授 (70224467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有馬 昌宏 兵庫県立大学, その他の研究科, 教授 (00151184)
杉江 淑子 滋賀大学, 教育学部, 教授 (30172828)
片山 泰輔 静岡文化芸術大学, 人文・社会学部, 教授 (40348165)
金城 ふみ子 東京国際大学, 経済学部, 教授 (50275799)
橋本 紀子 関西大学, 経済学部, 教授 (60198687)
周防 節雄 公益財団法人統計情報研究開発センター, その他部局等, 研究員 (90162841)
新谷 正彦 西南学院大学, 公私立大学の部局等, 名誉教授 (70069706)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 文化需要 / コーホート分析 / ミクロデータ |
Research Abstract |
本研究の目的は,文化芸術活動への参加及び支出といった文化需要を説明するために,コーホート要因などを取り込んだモデルを開発し,文化需要を規定する要因を実証的に明らかにすることである.この目的を達成するために,平成25年度は以下のような内容で研究を進めてきた. (1) 研究分担者らがこれまで実施してきた「学生の芸術意識と芸術活動に関する調査」(学生調査)について,過去の調査結果を整備した上で実証的な分析を開始した.特に,芸術鑑賞に影響を与える要因を時間を通じて統一的に説明するモデルを考察するとともに,過去の個票の一部を閲覧し,調査対象者の文化需要に関する意見を分析しながら,集計様式の再検討も行った(なお,閲覧するに至らなかった個票については、次年度の作業順序を確認するに留めた). (2) 理論的分析:文化需要をモデル化するに際し,より一般的な需要関数に関してサーベイを行い,これまでの研究成果を確認した.特に,AI需要システム (Almost Ideal Demand System) を取り上げ,その成果を文化需要にどのように適用するべきかについて検討を行い,共和分を取り込んだモデルについての適用可能性を探った. (3) 実証分析:周期統計調査として「社会生活基本調査」と「全国消費実態調査」の匿名データに関する基礎的な分析を行った上で,クロス集計やモデルの推定など実証的な分析を開始した.さらに,経常調査として「家計調査」の公表データを用いてのモデルの推定のための基礎的な分析(データの整備や時系列特性の確認)も行った. (4) 文化芸術統計の体系化:文化芸術統計を体系化するための枠組みについて,諸外国の状況を参照に,我が国のデータの収集を開始した.とりわけ,新たな集計結果が公表された「国勢調査」,「家計調査」,「社会生活基本調査」などについての最新のデータを,体系化の枠組みに組み込む準備作業を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「学生調査」については,これまでの調査の時系列比較を含んだ様々な集計やモデル分析を開始し,今年度でより深い分析を行うことが可能となっている.とりわけ,過去のデータを統一的に扱うデータベースの完成に目途が立っている.また個票の自由記述などの分析により,より詳細な文化需要の要因分析が可能となっている(研究実績の概要でも述べた通り,個票に関する本年度の作業内容については検討済みである). 文化需要を調査項目に含んだ公的な周期統計調査である「全国消費実態調査」については,実証分析を行い学会での成果報告を行った.「全国消費実態調査」のデータについては,これまでの成果を生かして今後も分析を続けていく.さらに「家計調査」や「社会生活基本調査」についても基礎的な分析は終了しており,よりの詳細なモデル分析の準備は整っている.また「学生調査」の分析の結果を,文化需要に関するモデル作成や推定に生かすことをさらに考えていきたい. 文化芸術統計の体系化に関しては,諸外国の状況を参照とした枠組みの考察を行い,我が国のデータの収集が昨年度に開始できたので,より詳細にデータ収集を引き続き行い,全体をまとめる作業を今後行っていく予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,研究目的を達成するために以下のような内容で研究を実施する計画である. (1)「学生調査」のデータ整備と分析:これまで整備してきたデータベースを,実証分析に十分耐えうるものとして確立しつつ,文化需要を説明するための要因分析に利用する.さらに社会人の調査結果との対比や過去の学生調査の報告書で提示されている結果との比較を行い,歴史的な考察も加えていく予定である. (2) ミクロデータ・公表データの分析:「社会生活基本調査」,「全国消費実態調査」,「家計調査」のデータを用いたより詳細な実証分析を行っていく.また「国勢調査」については,調査票情報の利用申請を行い,利用申請が認められ次第,分析作業に入る. (3) 文化芸術統計の体系化:諸外国を参照にした文化統計の枠組みについて,我が国の文化統計のできるだけ最新のデータをあてはめていき,全体的な体系の完成を目指す. (4) 文化政策の提言:上記の様々な分析の結果を文化政策に資する基礎資料と位置づけ,そのインプリケーションを十分に検討しながら,具体的な提言を行うことを試みる.
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Research Products
(9 results)