2011 Fiscal Year Annual Research Report
東アジア高度経済成長の歴史的起源―連続・断絶論から東アジア経済圏論へ
Project/Area Number |
23330113
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
堀 和生 京都大学, 経済学研究所, 教授 (60219201)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀内 義隆 三重大学, 人文学部, 准教授 (90550492)
福岡 正章 同志社大学, 経済学部, 准教授 (90388041)
湊 照宏 大阪産業大学, 経済学部, 准教授 (00582917)
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Keywords | 経済史 / 東アジア / 高度経済成長 / 国際研究者交流 / 日本:韓国:台湾 |
Research Abstract |
初年度は、交付申請書の「研究実施計画」に記載した通り、研究の基礎となる資料の調査収集とその初歩的整理、データベースの設計・構築を最優先作業とした。これに加えて、三度の国際共同研究会を開催した。以下、資料調査、研究会の順に概要を述べる。 米国への資料調査は次の通りである。 (1)米国国立公文書館への資料調査(2011年6月17日~7月17日、林采成):戦後アメリカの対外経済政策の主軸であった国務省関連資料を中心として調査した。 (2)米国国立公文書館への資料(2011年8月29日~9月7日、湊照宏、許世融、圖左篤樹):戦後のアメリカ援助局の対台湾援助に関する資料収集を行った。 以上の他に、圖左・堀内が台湾、堀・福岡が韓国、袈錫満が日本の外交史料館でそれぞれ短期の資料調査を行った。 国際共同研究会の概要は次の通りである。 (1)全体研究会(2011年8月7~8日、京都大学):研究プロジェクトの三国のメンバーが集合し、それぞれの研究について報告し、各々の研究分担について相談を行った。 (2)韓国・台湾の造船業史研究会(2012年1月7日、京都大学):袈錫満が韓国造船業の育成政策を検討し、試行錯誤の末、国営方式の限界が認識されたことを明らかにした。また、堀内・堀・裴が『台湾造船公司の研究』を書評し、著者の洪紹洋氏、祖父江利衛氏を招いて討論を行った。日本の造船業と韓国・台湾の造船業の比較を通じて、韓国・台湾造船業の60年代までの類似性と70年代以降の分岐が研究課題として浮き彫りになった。 (3)繊維業史研究会(2012年3月24日、京都大学):柳尚潤氏(韓国から招聘)が50年代における米国による対韓人絹糸援助の意義を検討し、福岡が60年代の韓国繊維産業の輸出産業化は、日系商社の第三国貿易の進展という側面があったことを明らかにした。議論の結果、1950年代か、ら60年代の輸出産業化への転換がどのように行われたのか、と課題認識が共有された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の重点課題とした資料の調査収集に関して、二度の米国国立公文書館への調査を含め、各メンバーによる各国での資料調査が行われ、順調に進展していると評価できる。また、国際共同研究という点からも、三度の研究会を開催することができ、活発な討論が行われたことから、順調な成果があげられたと評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、米国での資料調査・収集を行う。また、研究成果の中間報告のための国際共同研究会を複数回、日本で開催する。具体的には、戦後米国の対アジア経済政策に関連した研究会を行う予定である。また、8月には、社会経済史学会の夏季セミナーにおいて、本研究課題に関する中間研究成果報告を行う。
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