2012 Fiscal Year Annual Research Report
植民地台湾の経済発展と市場の生成に関する総合的研究
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23330116
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
須永 徳武 立教大学, 経済学部, 教授 (10308091)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
老川 慶喜 立教大学, 経済学部, 教授 (10168841)
大島 久幸 高千穂大学, 経営学部, 教授 (40327995)
渡邉 恵一 駒澤大学, 経済学部, 教授 (00267387)
湊 照宏 大阪産業大学, 経済学部, 准教授 (00582917)
谷ヶ城 秀吉 立教大学, 経済学部, 助教 (30508388)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 帝国日本 / 植民地 / 台湾 / 市場 / 会社 / 社会資本 / 流通 / アジア |
Research Abstract |
本研究は戦前期の日本の植民地であった台湾を中心に、植民地における経済制度の整備や市場形成に着目しながら、当該地域の経済発展の過程を多面的な分析視角で検討することを課題としている。研究代表者、研究分担者、連携研究者は、これまでそれぞれが研究を進めてきた研究テーマの研究蓄積を活用しながら、それを基盤として近代日本の植民地経済の発展と変容の過程について研究を進めてきた。その研究成果の暫定的成果の公表を目的に2012年5月26日・27日に台湾における国立台北大学において開催された国際シンポジウム「近代東アジアにおける地域交流と秩序の再編」で研究報告を行なった。具体的には、研究代表者の須永徳武は「台湾企業の株主構成と財務構造」、研究分担者の老川慶喜は「後藤新平と東アジアの鉄道構想」、湊照宏は「台湾拓殖会社の事業と関係会社」、谷ヶ城秀吉は「戦間期東アジア市場における総合商社の活動」、連携研究者の岡部桂史は「植民地期台湾の農業技術と人的ネットワーク」のテーマの下にそれぞれが研究報告を行なった。このシンポジウムには台湾の代表的な研究機関である中央研究院や国立台湾大学、台北大学、台湾師範大学などから多数の歴史研究者が参加したのみならず、中国の浙江大学、香港樹仁大学、韓国のソウル大学の研究者も報告を行ない、戦前期日本の植民地体制を多面的に検討した国際シンポジウムであった。このシンポジウム参加を通じて、問題意識を共有するアジア各地の歴史研究者と研究ネットワークを形成することができ、さらに資料や研究状況に関する意見交換を行なうことができた。また、昨年度に引き続き台湾において資料調査を継続すると共に日本国内においても関係資料の調査を進めた。また、研究の進捗状況と最終成果の確認を目的に複数回、研究代表者の所属機関である立教大学において研究会を開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者および研究分担者、連携研究者が、本研究プロジェクトで研究を進めてきた研究に関して中間報告を台湾における国際シンポジウムにおいて報告し、台湾はもちろん東アジア各地の多数の研究者と討論できたことは本研究の進展に大きく寄与するものであった。同シンポジウムを通じて形成できた研究者ネットワークも今後の研究の進展に大きく益するものと思われる。また、台湾における史料調査も進展し、ある程度の基礎史料の蓄積が実現した。また、研究会の開催で最終成果の取り纏めに向けた問題意識の共有化とテーマ調整も行なわれた。これらの点を鑑み、本研究は概ね順調に進捗していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究活動を通じて研究の進捗と史料調査に相当程度の成果を得ることができた。今後も継続して台湾および日本国内における史料調査は継続して行なうが、次年度には本年度に計画していながら実現できなかった韓国および中国東北における史料調査を実施したい。また、次年度は研究期間の最終年度に当たるため、各自の研究成果の取り纏めを進め、研究期間終了後の研究書出版の準備も進めたい。
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