2011 Fiscal Year Annual Research Report
リード・ユーザー・メソッドを用いたオープン・イノベーションの理論的実証研究
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23330136
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hannan University |
Principal Investigator |
水野 学 阪南大学, 経営情報学部, 准教授 (80411685)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣田 章光 近畿大学, 経営学部, 教授 (60319796)
井上 隆一郎 東京都市大学, 都市生活学部, 教授 (70438076)
文能 照之 近畿大学, 経営学部, 教授 (30388491)
秋山 秀一 兵庫県立大学, 経営研究科, 准教授 (30388889)
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Keywords | ユーザーイノベーション / オープンイノベーション / 製品開発 / リードユーザー |
Research Abstract |
デンマークや英国,カナダなど諸外国の企業や国家の産業政策で次々と導入が進んでいるユーザーイノベーション(以下,UI)というコンセプトが,日本の企業やイノベーション促進政策にどの程度有効に機能するのかという問題について,(1)仮説導出のための理論的検討および(2)ケース収集を通じた実態把握の2つについて以下のような成果を得た。 まず理論面では,UI概念に基づく製品開発は,マーケティング論で主張される,顧客のニーズをより反映させた「マーケット・イン型」製品開発をさらに一歩進めた「顧客主導型」製品開発の可能性があることが明らかになった。とくに消費者のニーズが読みにくく,製品開発に苦戦している産業や企業では,この顧客主導型製品開発が大きな役割を果たす可能性があることが明らかになった。その一方で,とりわけメーカー側に生じる「リサーチへの過信」「UIの過小評価」「権利問題」「NIH症候群」といった諸問題が,UI活用の阻害要因になる可能性があることも明らかとなった。ただその大部分は誤解に基づくものであり,UIの可能性を矮小化させるものではないことも明らかとなった。 次にUIの実態調査では,新聞や雑誌など二次データをソースとしたUI事例収集により,我が国におけるUIの発生傾向を俯瞰的把握した。現在までの分析結果を見る限り,先行研究が発見してきた特定の産業分野(例えばスポーツ,医療,ソフトウエア)以外にも,農業や水産業といった第一次産業や化粧品業界など幅広い産業においてUIが発生していることが明らかになってきた。さらに補足的な事例研究の結果も勘案すると,職人仕事や特殊な技能といった,いわゆる暗黙知が多く必要とされる産業や業務領域では,UIを取り入れた製品開発が有効に機能する可能性が高いのではないかという,非常に興味深い仮説が導き出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の到達目標は,次年度実施予定のサーベイ調査に向けた仮説の導出であった。その目的に対して,先行研究からの仮説導出に加え,これまでに実施されたことのない産業俯瞰型の二次データ調査の結果から新たな仮説を発見することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,本年度の仮説を量的に検証することを計画している。具体的には,複数産業の企業に対してUIの発生事実,製品開発への導入可能性とその条件についてサーベイを実施する。前半(4-8月)は研究組織内でのディスカッションを月1回以上の頻度で実施し,調査設計および仮説を詰める作業を行う。9-10月はそれまでに決定した実査委託先と,調査実施に向けた作業手順の確認およびサンプリングを行い,11月頃に実査を開始する予定にしている。 サーベイのおける最大の問題点は,サンプル選定と数のバランスである。より産業俯瞰的なデータを収集しようとすれば,より多くの産業(企業)を対象としたサンプリングが必要となるが,予算の制約および分析を考えるとある程度の絞り込みも必要となる。この問題は回収率も大きな要因となるため,実査委託先との十分なシミュレーションをもって臨みたいと考えている。
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Research Products
(3 results)