2012 Fiscal Year Annual Research Report
日本は移民国家か?日本とオーストラリアにおける移住者の市民意識と帰属感の比較研究
Project/Area Number |
23330169
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
FARRER GRACIA 早稲田大学, アジア太平洋研究科, 准教授 (70436062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田嶋 淳子 法政大学, 社会学部, 教授 (20255152)
イシ アンジェロ 武蔵大学, 社会学部, 教授 (20386353)
川上 郁雄 早稲田大学, 日本語教育研究科, 教授 (30250864)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2015-03-31
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Keywords | 国際移動 / 移民のアイデンテイテイ / 帰属感 / 市民意識 / 日本社会 / 移民社会 |
Research Abstract |
本研究の目的は、オストラリアにおける移住者を取り上げること、また、移住者の一世と二世の両方を考査することにより、日本が移民受け入れ社会として、典型的な国際移住の軌道上にあるのか否か、今後どのような社会になるのかについて新しい知見を得ることである。研究対象は中国、韓国、フィリピン、ブラジルからの移住者と東南アジア(特にベトナム)からの難民に焦点を当てる。主な研究手段は聞き取り調査とフォーカスグループである。2012年度においては、以下の研究活動を行った。 オストラリアにおける中国人について、8月9日~8月27日まで田嶋分担者と研究協力者趙衛国博士がメルボルンを訪問し、中国系移民12名とインタビューを行った。また、新金山中文学校で二世に対象するアンケート調査を実施し、194部を回収した。韓国移民について、ファーラー代表者は、韓国語堪能の研究補助者に依頼し、個人インタービュ32名とフォーカスグループ1組を行った。ブラジル移民について、イシイ分担者が大きく分けて二つの研究活動を行なった。一つはオーストラリア在住のブラジル移民を研究している二人の専門家に研究資金を「謝金」という形で提供して、インタビュー調査を依頼した。二つ目は西オーストラリア在住のブラジル系移民の実態を把握するため、パースを訪れて聞き取り調査を実施した。パース在住のブラジル人をつなぐウェブサイトを立ち上げたブラジル人、さらには同市のブラジル系移民をも調査した。東南アジアからの定住者については、川上分担者が2012年12月および、2013年3月、シドニーにおいて12名のベトナム難民の1.5世あるいは2世にインタビューを行った。入国経緯、幼少期から青年期までの生活、家庭教育、ベトナム文化について、オーストラリア社会への見方、市民意識と帰属感等について、半構造化インタビューを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2012年度には、フィールドワークを中心に日本とオーストラリアで質的インタービュ、アンケート調査とフォーカスグループも実施した。その結果、オーストラリアでは、中国系移民とベトナム移民の1.5世と2世のアイデンテティ、言語選択、キャリアについての考え、家庭生活、社会関係、階層意識、帰属感などについて知見を得た。日本では、中国人、韓国ニューカマー、フィリピン人の間の比較研究に必要なデータを集めた。彼らの経済方式、家庭関係、言語選択、文化アイデンテイテイ、日本社会との関係、将来についての計画などに関する情報を把握した。また、二名の現地研究者の協力を得て、オーストラリアにおけるブラジル系移民の市民意識や帰属感に関する多角的な分析ができている。 データの量から見ると、予想より収穫が多い一年間だった。これらのデータを用いて、論文や本を書くことは、十分できる。 一方、現地移民人口の状況、研究協力者を得られるか得られないかの影響、また、調査のアクセスにより、データのバランスが欠けているところが現れた。たとえば、中国人についての研究は、日本では、1世或いは大人になっている1.5世に焦点を当てている。オーストラリアでは、中国語補習校がメーンのアクセスポイントの関係で、主に1.5世と2世の中学生或いは高校生が対象になっている。日本における中国人若い2世との比較をするなら、日本にある週末中国語学校での調査が必要になる。それを実施できるかどうかが疑問になっている。また、オーストラリアで中国人1世とのインタービュ調査も必要になっている。ベトナム人の場合は、日本でのインタービュ調査がまだ実施していない。韓国人の中での調査は、日本でしか行っていない。 データのバランスをどう取るべきか、取る必要があるかどうかは、今年度の課題として残ている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、昨年までの調査データと研究発見によって、幾つの比較的研究ができるように、データのバランスを調整すべき部分、又不足している部分のデータを収集することと同時に、データ集結や分析の段階に入る計画がある。具体的に、代表者と3名の分担者が下記の分業で研究を進める。 ファーラー代表者:1)イシイ・アンジェロ先生のご協力で、在日ブラジル系移住者一世15名との聞き取りをする。2)質的分析ソフトを使って、データの整理と分析を行う。3)定期的にプロジェクト研究会を開催し、来年に国際学会に提出するパネルを企画する。 川上分担者:昨年にオーストラーリアでの調査を中心だったので、今年は東京近郊(あるいは神戸)でベトナム系の1.5世、或いは2世を対象とした調査を行う。 イシイ分担者:オーストラリアの研究協力者を委託し、オーストラーリアでのブラジル移民の調査を続ける。又、昨年と今年にいたデータを分析はじめる。 田嶋分担者:昨年オーストラーリアでの調査データを分析作業に入る。 今年の後半に、個々人が研究結果をまとめ、研究プロジェクトのシンポジムを開き、国際学会発表に向けて、準備をする。
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Research Products
(5 results)