2011 Fiscal Year Annual Research Report
戦前期における福田会育児院の運営組織と処遇に関する研究
Project/Area Number |
23330181
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
宇都 榮子 専修大学, 人間科学部, 教授 (40060701)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 武悟 専修大学, 文学部, 准教授 (80439520)
小池 隆生 専修大学, 経済学部, 講師 (40404826)
|
Keywords | 社会福祉史 / 育児施設 / 貧困 / 里親 / 仏教 |
Research Abstract |
日本における社会福祉形成の過程で重要な位置をしめる福田会育児院の事業の実際を明らかにするため、昨年作成した「福田会育児院育児院年表第一次稿」を補完した「福田会育児院年表第一次稿補訂版」の作成を行い「福田会育児院史研究の基礎的資料の整理その2」としてまとめた(13研究発表雑誌論文参照)。補訂版年表作成に際しては、「東京日日新聞」、「郵便報知」、「東京朝日」(大正期)、「福田会育児院月報」を用いた。これらによって、福田会における児童の処遇状況、社会との関わりなどが明確になった。 また、福田会育児院機関誌として1903(明治36)年1月に創刊された『福田会育児院月報』、『ふくでん』、『フクデン』について、成田山仏教図書館所蔵分について同図書館の協力を得て、撮影させていただき、デジタル資料とし、その目録を作成した(1906年~1915年まで終了)。一部、研究例会においてその内容の検討も行った。本資料についてはこれまで紹介がされてきていないので、これを明らかにしていくことは社会事業史研究の上で意義のあることである。今後、さらに内容の検討を進め、不明だった明治期、大正期の福田会育児院における児童の処遇内容、支援者の実態(社会的階層、慈善救済施設を支援することの当時の社会における意味など)について明らかにしていきたい。 福田会育児院史資料集の作成をめざして、関係資料の蒐集ならびに規程集の翻刻作業を進めた。 福田会育児院入所者の実態(入所理由、家族構成、院内処遇の実際)をあらわす『児童原簿』については、入力作業が進み、それをもとにした検討を開始したが、研究発表は次年度に行っていきたい。里親制度については、里子斡旋に協力した医師の子孫の方との連絡をとりすすめた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、研究計画に記載した「福田会育児院設立の社会的・経済的・宗教的背景」については、一部研究会での検討ができていないが、その他の資料集、資料目録の作成については、かなり進展した。「児童原簿」の翻刻作業は、かなり進展し、その検討にも着手できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
日本における社会福祉の形成史に重要な位置をしめる福田会育児院の基礎的史資料を整理した上での研究は重要であると考えるので、福田会育児院所蔵の『児童原簿』の翻刻入力と分析、成田山仏教図書館所蔵の『福田会育児院月報』の目録作成、翻刻入力、分析、新聞資料、仏教関係雑誌などの関連史資料の蒐集とその翻刻入力、目録の作成、分析などを行う。そして福田会育児院史資料集の作成を目指すとともに、福田会育児院史草稿の作成につなげていきたい。
|