2012 Fiscal Year Annual Research Report
多様化する学習主体に対応した「地域福祉教育」の場・教材の開発研究
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23330185
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
原田 正樹 日本福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (40287793)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩間 伸之 大阪市立大学, 生活科学研究科, 教授 (00285298)
所 めぐみ 佛教大学, 社会福祉学部, 准教授 (00411281)
小野 達也 大阪府立大学, 人間社会学部, 准教授 (30320419)
上野谷 加代子 同志社大学, 社会学部, 教授 (40123583)
小松 理佐子 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (40301618)
和気 康太 明治学院大学, 社会学部, 教授 (50257060)
藤井 博志 神戸学院大学, 総合リハビリテーション学部, 教授 (60336815)
平野 隆之 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (70183580)
宮城 孝 法政大学, 現代福祉学部, 教授 (70276864)
山本 美香 東洋大学, ライフデザイン学部, 准教授 (80383363)
菱沼 幹男 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 講師 (80406347)
松端 克文 桃山学院大学, 社会学部, 教授 (90280247)
永田 祐 同志社大学, 社会学部, 准教授 (90339599)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 地域福祉 / 福祉教育 / コミュニティソーシャルワーク |
Research Abstract |
本年度は5回(4/21.6/23.9/17.12/16.2/18)の研究会を行った。研究計画に即して5つのプロジェクトを展開してきた。a:「地域福祉の理論と方法」担当者へのアンケート調査、b:地域福祉実習・演習、c:現任研修、d:地域福祉教育実践FD、e:インストラクションの原理である。 aについては、一般社団法人・日本社会福祉士養成校協会の協力のもと、全国の社会福祉士養成大学を対象にして、「地域福祉の理論と方法」を担当する教員向けのアンケート調査を実施した。本調査は類似する先行調査がなく、全国初の実態と課題を明らかにする調査になる。分析結果については2013年度に学会報告を予定している。 b、cについては制度改正に伴う新カリキュラムの導入後の各大学での取り組みについて現状を把握した上で、シラバスやプログラムについて検討をしてきた。改正理念としての地域を基盤とした方向性と実際の学習内容との乖離が指摘されるとともに、モデルの開発の必要性が共有されてきた。その際に、大学だけのシラバスや教材開発だけを対象にするのではなく、現任研修等で活用されているプログラムや教材研究が必要であることから、藤井博志『地域生活支援員サポーターワークブック』CLC出版と岩間伸之・原田正樹『地域福祉援助をつかむ』有斐閣を用いた検討が行われた。 dについては、毎回1つの授業実践を公開し、全体で評価することから地域福祉教育の標準化にむけた課題と授業改善点の抽出作業を積み重ねてきた。 以上を踏まえて、地域福祉教育におけるイントラクションの内容について議論を進め始めた段階である。研究計画では、次年度にむけてインストラクションブックを作成していくために、本年度はその基礎的共通理解と教育工学的な視点からの枠組みについて先行研究と分析に着手したところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に基づき、全国調査が実施できたことが第一の成果である。本研究の意義を理解・協賛してもらい、一般社団法人・日本社会福祉士養成校協会の協力が得られたことの影響が大きい。それによって対象校や対象者の拡大ができ、極めて実態に近い全数調査が可能になった。 また本研究は16名による大規模な共同研究プロジェクトであるが、それぞれのチームの研究活動が軌道にのり、現状の共有化と問題点の抽出が出来つつあることは、最終的な研究目標にむけて順調に進展しているように認識している。 ただし当初の研究計画では、研究者(大学教員)によって開発されていく地域福祉教育のプログラム等について、現場ワーカーによる実践や検証を想定していたが、その段階にまでは至っていない。今回の共同研究者は、個々には自らの研究フィールドを有し、日頃からフィールドへの関与は強いメンバーであるが、共通する標準的な枠組み(インストラクションブックのようなアウトプット)を提示するまでには、まだしばらく研究協議が必要である。 よって今回の調査結果や授業分析・開発にむけた課題抽出等の作業を踏まえて、次のステージの研究課題に入る内容になってきていることから、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度にむけては、これまでの研究成果を踏まえて、地域福祉教育研究の構造を明確にし、それに伴うインストラクションの方法について検討を加え、地域福祉教育のインストラクションブックの制作にむけた段階の作業に入る。 ただし3つの課題が生じている。1つは社会福祉士養成における「地域福祉の理論と方法」を対象にした内容にしていくが、国家試験出題基準等との整合性をどう図るかという研究対象と政策上の課題である。2つに、地域福祉教育の検討をしていくことによって、既存の社会福祉教育との相違点を明確にしていく必然性が生じてきているが、日本地域福祉学会だけではなく、他学会等との内容協議、および共同研究が不可欠になってきていること。そして3つに、インストラクションブックの評価・フィードバックを現場ワーカーから介入してもらうためのシステムの設定をしなければならないことである。 しかしながら本研究が、問題構造を明らかにするだけではなく、当初から地域福祉教育の教材開発を行い、地域福祉学研究における教育研究のセグメントを創出することを目的にしている以上、それを克服していく必要がある。 よって次年度は、これまでの研究成果を元にした中間報告の段階から、その内容について報告する機会を増やし、積極的に外部との共同研究等の機会を設けていくことで、完成度並びに有効度のある研究にしていく。
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