2012 Fiscal Year Annual Research Report
貧困に対する子どものコンピテンシーをはぐくむ福祉・教育プログラム開発
Project/Area Number |
23330186
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
埋橋 孝文 同志社大学, 社会学部, 教授 (60213427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
室住 真麻子 帝塚山学院大学, 人間科学部, 教授 (00249442)
山縣 文治 関西大学, 人間健康学部, 教授 (10159204)
田中 聡子 県立広島大学, 保健福祉学部, 准教授 (30582382)
鳥山 まどか 北海道大学, 教育学研究科(研究院), 助教 (40459962)
阿部 彩 国立社会保障・人口問題研究所, 社会保障応用分析研究部, 研究員 (60415817)
居神 浩 神戸国際大学, 経済学部, 教授 (70289057)
矢野 裕俊 武庫川女子大学, 文学部, 教授 (80182393)
所 道彦 大阪市立大学, 生活科学研究科, 准教授 (80326272)
山村 りつ 同志社大学, 高等研究教育機構, 助教 (80609529)
大塩 まゆみ 龍谷大学, 社会学部, 教授 (90269738)
室田 信一 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (00632853)
岡崎 裕 プール学院大学, 国際文化学部, 准教授 (50513727)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 子どもの貧困 / コンピテンシー / 福祉・教育プログラム |
Research Abstract |
2012年度には全体研究会を計9回開催し、また、4つのサブグループもそれぞれ研究会をもつなど活発な研究活動を行った。全体研究会では、1)あったかサポート2)豊中市、3)京都市ユースサービス協会、4)国立保健医療科学院の各スタッフをゲストスピーカーに招いて話を伺った。A班は、大阪市教育委員会事務局の協力を得て、小学生4000人、中学生4000人へのアンケート調査を行った(それぞれの保護者への調査も同時に実施、回収率は小学生76%、中学生71%)。現在集計作業中。B班は、京都市ユースサービス協会との共同委託研究事業の体制が整いつつあり(委託契約書の作成、締結など)、2013年度春から本格的な調査活動に乗り出す。 C班は、2011年度の加賀屋調査、母子家庭の母親を雇用している企業へのインタビュー調査に引き続き、母子寡婦福祉団体へのアンケート調査、母子家庭の母親へのインタビュー調査などを行い、現在、その結果の分析中。D班は、児童養護施設の卒園者へのインタビュー、児童養護施設へのアンケート調査を実施(全国589施設の送付、回収数213、回収率36.2%)。今後、卒園者へのインタビューの継続と施設担当者へのインタビュー調査を行う予定。韓国における施設へのアンケート調査(日本と同一質問項目による調査)とインタビュー調査を企画中。 上記の4サブグループとも調査の実施にあたってあらかじめ同志社大学の研究倫理審査委員会の承認を受けた。そのほか、2012年度には、就労支援事業や子どもの学習支援、居場所づくりなどでユニークな活動を行っている釧路への視察、北海道大学の研究者グループとの交流などを行った(5名が参加)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)基盤研究(B)のような比較的規模の大きい研究プロジェクトでは、テーマに即した自前のデータ、資料を得、それに基づく分析によって新しいオリジナルな知見を得るということが肝要である。この点、私たちのプロジェクトは十分その重要性を認識し、4つのサブグループのそれぞれが自前の調査を実施呈していることは高く評価されるであろう。 (2) また、すでに記したように本研究ではお互いに密接に関連するがやや対象者を異にする4つの研究サブグループを設けている(A大阪市内の一般小中学生とその保護者、B母子家庭の母親、C若年就職困難層、D児童養護施設出身者と施設担当者)。これらは、子どもの貧困にアプローチするためには必要不可欠であり、こうした多角的なアプローチによる成果が期待される。 上の2点は私たちの研究の特長であるが、その実現は容易なものではない。(1)に関しては、調査の実施に時間がかかること、(2)に関しては、4つのサブグループ間の調整と意思疎通が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点での問題点は、以下の3点にある。 1)調査の実施と分析がほぼ3ヶ月ほど当初の予定より遅れていること。⇒この点は、調査対象者のスケジュール上の都合もあり、また、委託研究の契約書作成や倫理審査に時間がかかったということも理由であり、私たちが怠慢であったわけではけっしてないが、ともかくも今後、迅速な調査の実施とその分析に取り掛かる必要がある。 2)前年度にも指摘したことであるが、本研究のタイトルにもある「コンピテンシー」の理論化と具体化という視点が弱いこと。⇒この点は、今後2013年度に予定している各グループおよび個人の報告とそれをめぐる議論などで補強していく予定である。 3)同じく本研究のタイトルにある「福祉・教育プログラム開発」に関して、プログラム開発に至る理論的な検討や実証的裏づけが弱いこと。これに関連して4つのサブグループを通しての問題意識の統一化と共通化を図っていく必要がある。⇒この点も、今後の各グループおよび個人の報告などを通して補強していく予定である。
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