2012 Fiscal Year Annual Research Report
「子ども虐待防止の実践力」を育成する教員養成のあり方
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23330225
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
岡本 正子 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (50379319)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 あおい 大阪教育大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (00343260)
二井 仁美 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (50221974)
西牧 謙吾 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, その他部局等, その他 (50371711)
鈴木 真由子 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (60241197)
上田 裕美 大阪教育大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (80302636)
島 善信 大阪教育大学, 学内共同利用施設等, 教授 (80457027)
北口 和美 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (90411941)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 子ども虐待防止 / 教員養成 / 質問紙調査 / 海外比較調査 / 小学校 / 中学校 / 高等学校 / 特別支援学校 |
Research Abstract |
1、子ども虐待問題への社会的ニーズ調査(学校教職員に対する調査) 子ども虐待に関する教育内容の明確化を目的として、平成24年8月~11月にかけて、①大阪府と北海道の公立小・中学校(766校)の管理職766名と教員2752名、②大阪府立高等学校(154校)の管理職154名と教員462名、③特別支援学校(病弱:85校)の管理職と教員、④大阪府内のSC248名を対象に質問紙調査を行った。(1)有効回答は、①小・中学校管理職462名(60.3%)、小中学校教員1282名(46.6%)、②高等学校管理職69名(44.8%)教員150名(32.5%)、③特別支援学校63校(64.1%:管理職63名教員292名)、④SC49名(19.6%)であった。(2)単純集計から①「児童虐待の防止力を育成するために必要な教育・研修」について、学部学生と現職教員に必要な内容の違いや、②大阪と北海道では虐待への対応経験や被虐待児童生徒の示す情緒行動の問題への対応困難感の違い等が認められた。これらは次年度に分析を行うことでカリキュラムマップ作成の基礎資料となる。 2.海外調査(ストックホルム、ロンドン、ボストン、ウイーン) ①ストックホルムとボストン調査では、教員養成を行っている大学・児童福祉局・小中学校教員等への聞き取り調査と資料収集、ロンドンではNSPCC主催の会議参加と学校教育研究者や大学教員(ソーシャルワーク専門)への聞き取り調査、及び資料収集を行った。現時点までの調査で、調査国の現職教員研修の実施状況に違いがあることを確認したが、教員養成段階での児童虐待の扱い方についてはほとんど把握できていない。一方、学校と児童福祉機関との連携の実際や学校における予防教育に関しては一定の情報を収集した。②ウイーン調査は、23年度に未実施の児童福祉局への聞き取り調査(児童虐待の実態及び学校との連携のあり方)を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた調査のうち、①質問紙調査は、大阪・北海道の小中学校(766校)と大阪の高等学校(154校)、全国の特別支援学校(病弱:84校)とスクールカウンセラーを対象に調査を実施し、小中学校の管理職からは概ね60%・教員からは50%弱の回答を得ており、高等学校や特別支援学校からも一定の回答を得た。24年度で回答票の入力はすべて終了しており、単純集計の概要からは学部教育におけるカリキュラムマップ作成に際して有用な基礎データとなる内容が示されている。25年度に詳細な分析を行うことで、より実効的なカリキュラムマップの作成と現職教員研修につながる基礎資料が得られると考えられる。 ②海外調査に関しては、4か国(スウエーデン・イギリス・アメリカ・オーストリア)への現地調査と文献調査を行い、各国とも現職教員への研修が存在することを確認した。また、学校と児童福祉機関との連携に関して、ウイーン・ストックホルム・ボストンの状況を一定把握できた。しかし現時点では、教員養成段階において「児童虐待」の用語を用いたカリキュラムは把握できていない。このことに関しては、24年度の調査で研究協力の承諾を得たイギリスの大学教員や研究者へのさらなる調査が必要である。 またイギリスでは児童福祉機関への調査も未実施であり、学校との連携状況や学校教員への期待など、引き続き調査を継続する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
①2012年度に実施した学校調査の詳細な分析を行い、教員養成段階での学部学生向けカリキュラムマップ作成及び現職教員研修カリキュラム作成の基礎データとする。 ②2012年度学校調査で抽出された児童虐待に関わる項目が、教員養成のカリキュラムにおいて具体的にどのように位置づけられるかについて、調査地において教員養成を担う大阪教育大学及び北海道教育大学の教職科目担当者を対象に調査を実施する。 ③海外調査に関しては、2012年度のイギリス調査で未実施の研究者・関係機関への調査を行う。具体的にはDR MARY BAGINSKYへのインタビュー(イギリスの学校における児童虐待問題の扱われ方の変遷・現在の課題と取組)と24年度調査で協力を承諾した大学教員へのインタビュー(教員養成段階における児童虐待に関するカリキュラム)、そして児童福祉機関への現地調査を行う。 ④ ①、②、③の結果を踏まえて、学部学生向けカリキュラムマップ及び現職教員研修カリキュラムを作成する。 ⑤ 3年間の研究報告書を作成し、関係機関および協力機関へ配布する。
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Research Products
(3 results)