2011 Fiscal Year Annual Research Report
2000年代以降の分権・行財政改革下における地方教育行財政の変容に関する調査研究
Project/Area Number |
23330230
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
小川 正人 放送大学, 教養学部, 教授 (20177140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本多 正人 国立教育政策研究所, 教育政策・評価研究部, 総括研究官 (90282623)
村上 祐介 日本女子大学, 人間社会学部, 准教授 (00423434)
荒井 英治郎 信州大学, 全学教育機構, 講師 (60548006)
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Keywords | 地方分権改革 / 行財政改革 / 市町村合併 / 教育委員会制度 / 教育行政の広域化 |
Research Abstract |
本研究の課題である2000年以降の分権・行財政改革下における近年の地方教育行財政の変容とそこから起因する課題を明らかにするために、先ずは、研究調査の作業として、(1)都道府県における教員給与や公教育費の収支構造等の教育財政に関する調査研究、(2)市町村合併や行財政改革等を起因とする教育事務所廃止等の地方教育行政の合理化・効率化と広域化に関する調査研究、(3)分権改革や地方政治等の変容と教育委員会制度をめぐる課題に関する調査研究、という三つのグループを設けた。その上で、それぞれの課題に関して、(1)先行研究と関係データの収集を行い文献学習を進めることと、(2)地方教育行政の実情を幾つかの都道府県教育委員会への訪問調査を中心に実施した。特に、(2)については、地方教育行政の要とされてきた都道府県と市町村を媒介する地道府県教育委員会の出先機関である教育事務所を廃止したり統合する動きが近年の大きな特徴にもなっているため、近年に教育事務所を廃止した長崎県(五島市など)と従来から教育事務所を設けていなかった滋賀県、徳島県への訪問調査を全員で行った。教育行政が広域化する流れの中で、都道府県と市町村の関係や市町村主義を原則した地方教育行政の在り方を考えていくうえで貴重な基礎的データを得られたと考えている。それら訪問調査の記録は、拙稿「教育事務所廃止の動向と地方教育行政の課題(1)」(放送大学大学院文化科学研究科『教育行政研究』第2号2012年3月)でその一部を整理している(残りの記録の整理・公表は平成24年度中に行う予定である)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究テーマを3つの研究調査班で進める計画を立って、平成23年度は、それら3つの研究テーマに関する先行研究論文と資料を収集し検討を通して本研究調査で取り組む主要な課題や研究方法などを吟味した。そのうえで、分権改革と市町村合併等の下で、地方教育行政がどのように変容しているかを徳島県、滋賀県、長崎県などの訪問(インタビュー調査)によって実施調査し、今日の地方教育行政の実態と問題の析出を試みた。それらの作業を通して、平成24年度以降における研究課題と調査研究作業の見通しを持つことができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、平成23年度の先行研究と関係資料・データ、及び実地調査で得られた知見を踏まえて、三つの研究調査グループ毎に、それぞれ平成24年度に行う調査研究の作業を進めていく。平成24年度は、三つのグループのうち、(3)の教育委員会制度に関する実態調査(アンケート調査)を行い、教育委員会制度をめぐる今日の実情と問題を析出したいと考えている。(1)の調査研究は、政府や地方公共団体が公表している既存データで可能な範囲の地方教育財政の統計分析を行う予定である。(2)の調査研究は、平成23年度の調査研究に加えて幾つかの他の特徴ある都道府県への追加訪問調査を実施し、市町村合併と行財政改革等を背景にして進行している地方教育行政の広域化の問題と課題を整理していく。そうした作業を踏まえて平成25年度には全国調査を実施したいと考えている。
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Research Products
(3 results)