2011 Fiscal Year Annual Research Report
旧外地の学校に関する研究-1945年を境とする連続・非連続-
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23330244
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
白柳 弘幸 玉川大学, 教育博物館, 学芸員 (20424327)
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Keywords | 教育学 / 植民地教育史 / 旧外地の学校 / 地域史 / 日僑学校 / 戦前と戦後の学校 |
Research Abstract |
旧外地の現地人子弟や日本人子弟の在籍した学校所在・総数等については、教育史上の基礎的事項にも関わらず当該地域の研究者も詳細に把握していないことが多い。本研究では第1に、終戦時の統治下において、どこに、どれだけの学校があったのかを一覧化することとした。そこでは学校名称・所在地・創立年月日・学級数・児童学生数・校長名・継承学校名などをあげる。膨大なデータを使用するが、これらは地域や国によって入手できる事項が異なり統一はできないため地域、国ごとに書式を統一する。平成24年度末に『成果報告書・別冊』として『旧外地学校総覧(仮称)』の刊行を予定している。 第2は、旧外地学校の連続・非連続を検証するため、参加者各自で研究対象の地域や国の諸学校を中心に教科書、教育内容、教育制度等の比較に取り組んでいる。入手資料を比べ、全統治下を統一した内容で論ずるのは困難なようである。 第3は、戦後、外地で留用された方々の子弟の学んだ日僑学校の実状を捉えることである。本年最大の成果は、これまで存在していないと言われていた朝鮮・平壌の人民学校の関係者(教員経験者)を見出し、体験談を聞くことができたことである。関係者より通信簿、修了証などの証拠となる資料も入手し、平壌の人民学校研究への道筋をつけることができた。また、満洲については、これまで大連と奉天の日僑学校を確認し資料を入手していた。加えて本年は、鞍山、哈爾浜等の満鉄沿線にも設立されていた日僑学校関係資料を入手し、証言も得た。台湾についての聞き取り調査は平成24年度となるが、これまで未確認であった高雄日僑学校・中学部に在籍していた方を見出せた。従来、殆ど語られることがなかった外地-台湾・朝鮮・満洲-の日僑学校の実状解明が進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学校所在データ打ち込みは手間のかかる作業であるが、参加者全員で分担し順調に進んでいる。本作業時、台湾、朝鮮、樺太のデータ入力は問題なく進んだが、満洲のそれは他地域に比べ膨大であるため大変時間が掛かっている。「連続・非連続」調査では、現地調査で資料が見いだせない地域もあり、一部遅れがちになっている。日僑学校調査で、新規発見の学校が見られたのは大きな成果であった。
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Strategy for Future Research Activity |
全体として概ね順調に進んでいるが、「連続・非連続」にかかわる調査中、東南アジア担当者から、現地の学校や図書館、文書館等の公的機関に基本資料となるものか殆ど保存されていないことが報告された。また、同一国内においても、初等、中等などの学校段階により残存資料に偏りが見られた。そのため、統一内容での「連続・非連続」を述べることは困難な状況となった。得られた資料を元にしての「連続・非連続」を述べることになるだろう。同様に日僑学校についても文書資料は極めて少ないため、聞き取り調査によって得られた証言をもとにして文章化を考えている。
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Research Products
(21 results)